2023年06月29日

紅白濁合戦。

2023年 6月28日(水) 晴れ時々にわか雨

南の風 波ありのちおだやか 水温26度~27度

 このところの傾向に拍車がかかり、今季はアジサシたちの飛来数が目に見えて少ない。
 
 ただし、6月のうちは日帰り客が少なかったからだろうか、朝夕などに海水浴場の砂浜でアジサシたちが戯れているシーンが観られた。
 
 以前は当たり前に観られた「砂浜のアジサシ」ながら、近年は頻繁なジェットスキーの往来等で居心地が悪くなったからだろう、桟橋から見渡せる範囲の砂浜の上にアジサシが佇んでいる様子などそうそう観られなくなっていた。
 
 居心地悪くなってるよ、という先達からの情報が伝わっていない集団が来ているのだろうか?
 
 でもせっかく来てくれているその集団も、今季でかなり懲りることになるはず。 
 
 この日水納班班長から伺った公式情報によると、6月30日に作業台船が入港し、7月3日(月)から浚渫作業が開始されるとのこと。
 
 一昨年に続き、この3年間で2度目の真夏の浚渫…。
 
 予定では2ヶ月ほどの工期を見込んでいるというこの第1回泊地拡大浚渫工事なので、沖縄が最も輝く「夏」の間を通じて、ビーチのすぐそばに巨大な作業台船が鎮座することになる。
 
 北部土木事務所都市港湾班によると、浚渫中には土砂はまったく外に流れ出さないようにする、などと謳っていたけれど、机上とフィールドでは事情がまったく異なるのはみなさんご存知のとおり。
 
 北部土木事務所都市港湾班がいう砂泥流出防止技術が実際にどの程度のものかまったく不明なので、朝から夕まで連日ガッシャンガッシャンと騒音が響き渡るのもさることながら、風向きや潮の加減によっては、リーフ際その他のエリアがたえず白濁しているということになるかもしれない。
 
 ちなみに水納港大改修工事は、本年を含め4年の工期で計画されているので、今年以降しばらくの間、港はずっと「工事現場」になることになる。
 
 せめてそのような工事は冬場に集中してくれればいいものを、もはや狂気の沙汰としか思えない真夏の浚渫。
 
 アジサシたちにとって、水納島が繁殖に適した島だった日々は、これで終わりを告げることになるかもしれない。
 
 なお、浚渫区域は待合所方面へと続く海岸にも及ぶため、海岸にはデカデカと工事現場につきものの看板が並ぶことになるもよう。
 
 もちろんのこと重機稼働中はそちら方面に散歩することができないから、事実上桟橋から灯台の先まで続く長い砂浜は立ち入り禁止区域になるらしい。
 
 重機が稼働していなければ入れるのか、土日祝日は作業をしないのかなど、細かいところは依然不明だけど、島を訪れるお客さんたちにとって、これがどれくらいショックなことか、なんてことなど1ミリも顧慮してはいない北部土木事務所都市港湾班。
 
 なんだかもう、お隣の大陸の政党が推し進める国家政策なみの容赦なしぶりだ。
 
 この「公共」工事を行うのは、日本国内で観光立県を謳う地方行政史上空前絶後に最低レベルな民度を維持してやまない北部土木事務所なので、お腹立ちや哀しみやザンネン感の矛先は、すべて北部土木事務所都市港湾班に向けてください。
 

 
 さてさて、海が白く濁ることを危惧していたら、名護漁港では真っ赤に染まっていたので驚いた。

紅白濁合戦。
沖縄タイムス

 オリオンビール工場から、冷却水が流れ出たためだそうな。
 
 さっそく「人体には影響がない」なんて話で押し通そうとしているけれど、いきなり赤く染まった漁港を見たおじいやおばあが腰を抜かして引っくり返って腰椎骨折、もしくは心臓が止まっているかもしれない。

 そもそも「人体に影響はない」って、そりゃあなた、濃度によるんじゃねーの?
 
 水で薄まれば「ヒト」には大丈夫でも、他の様々な生物には多大な影響があるのは間違いない。
 
 でもこれ、赤いから即座に何かが漏れ出したってことがわかるからいいものの、無色透明なら誰も騒がなかったはずで、オリオンビールも知らぬ顔の半兵衛を決め込んでいたかも。
 
 というかひょっとすると、事故を装って海に流しちゃったほうが、廃棄冷却水をキチンと処理するよりも圧倒的に安上がり…ってことだったりして(漁協にはオリオンビール1年分くらいで話をつけて)。
 
 巷間には悪評が立つとはいえ、ケンミンなんて3日もすれば三ツ星掲げてアリ乾杯!ってやってるのだろうから、キチンと処理する費用に比べれば、悪評被害など微々たるもの。
 
 あ、その手があったか!
 
 とばかりに、政府も放射能汚染水を「事故」で海に流し始めるかも…。
 
 いずれにせよオリオンビールでさえこうなのだから、米軍基地から何が流れ出ているかなんて話になったら、エリン・ブロコビッチが訴訟を1万件くらい起こせるほどなんじゃなかろうか。
 
 近年になってようやく騒がれている有機フッ素化合物、いわゆるPFASなんて、おそらく氷山の一角でしかないのだろう。
 
 知らない間に何にさらされているんだかわかったもんじゃないニッポンにあっては、水が砂や泥で白濁するなんてことは屁でもない?
 
 そんな白濁の日々がやがて訪れることなど知る由もない海の中の生き物たちは、今日も元気に暮らしていた。
 
 水納島の砂底の海には、わりと深いところまでミドリイシ系のサンゴが育つのだけど、そのサンゴにデバ(アオバ)スズメダイが群れるということはまずない。
 
 せいぜいリーフ際の浅いところまでが、彼らの主生息域になっているのだ。
 
 もちろん何かの拍子で流れ着いたチビたちが、深いところで育っているサンゴに住み着くことはあっても、やがて彼らが育って群れになる、なんてことはない。
 
 ところが数年前から、水納島では異例といっていい水深に育っているミドリイシに、デバ(アオバ)スズメダイの若魚の姿が目立ち始めてきた。
 
 フタスジリュウキュウスズメダイの群れに混じっている程度ながら、この調子でここを根城にしてくれれば、さらに増えてくるかも…。
 
 そして今年、そのサンゴのデバ(アオバ)スズメダイは、こういうことになっていた。
 
紅白濁合戦。

 これで砂底に死サンゴ石がゴロゴロしていなければ、座間味かどこかの海中景観みたい。
 
 ワタシの力及ばずこの程度にしか撮れなかったものの、実際の見た目はもっと涼やかで、これからの季節にはとっておきの納涼ポイントになることだろう。
 
 そんな涼やかな様子を動画でも、と思い立ったところ…
 
 
 
 デバデバヒーリングだったはずが、ギチベラハンティングになってしまった。
 
 ちなみに早々に退場したかのように見えるギチベラは、実はサンゴの下に潜んでいて、裏側から枝間に潜むデバデバを狙っていた(
後半にまた出てきます)。
 
 このようなプレデターにずっと狙われ続けるのだもの、よっぽど高い生産量じゃないと、デバ(アオバ)スズメダイがこの数を維持するのはキビシイ。
 
 はたして今季限定の納涼ポイントとなるか、この先ずっと続くのか。
 
 デバ(アオバ)スズメダイのがんばりに期待しよう。 


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Posted by クロワッサン at 06:26│Comments(0)水納島の海吉田兼好
 
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