2023年07月26日
コンタック600方式。
2023年 7月25日(火) 晴れ時々雨パラパラ
南東の風 波あり
強大な勢力となって遥か南海上を西進している台風5号は、沖縄本島地方に直接の影響を与えることなく、フィリピンの北端から大陸方面へ抜けようとしている。
この進路なら、とりあえず本島地方への直接の影響はなさそうだ。
とはいえ台風が強大だけに文字どおりの「余波」があるから、洋上は大きなうねりが見込まれる。
…ということを受け、海水浴場は早くもこの日の時点で、翌26日の遊泳禁止を決めた。
さすが台風、たとえ遠くにあってもただでは済まさない。
遠くにあってただでは済まさないだけではなく、まだ生まれてもいないのにえらいことをしてくれるのが台風。
5号しか注目していないと、そのあとすぐに誕生する6号にイタイ目に遭わされますから、御用心御用心。
…というか、6号のほうが相当ヤバそうなんですけど。
このままじゃ白化確定かと危惧されたサンゴたちにとってはひとまずの安心材料になるんだろうけど、ほぼ直撃となると5年ぶりくらいのことだから、不安材料のてんこ盛りだ…。
それはそうと、先週末からの絵に描いたような「7月のオキナワの海」となった4~5日間は、まさに嵐の前の静けさだったのだ。
そんな静けさに包まれた最後の日だった昨日は、久しぶりに遠出をして今年初めて訪れた場所で潜ってきた。
久しぶりだけにシビれる水深まで探訪しつつ、浅いところに戻ってきたら…
…デバデバキンギョヒーリング。
以前も紹介したような記憶がある同じ場所に、今年もまたデバデバのチビたちがたくさんいて、なおかつそこにキンギョハナダイがオレンジの彩りを添えていた。
デバデバとキンギョって、ありそうでなかなか無いでしょ?
このあたりの浅いところは、98年の大規模白化の際に一部のハナヤサイサンゴを残して一望焼け野原(?)状態になってしまったのだけど、あれから四半世紀経った今、見渡す限りの広範囲にサンゴたちが繁茂している。
テッポウエビ類を枝間に住まわせるタイプも多く、それらのサンゴが広範囲に広がっているものだから、テッポウエビ類が指パッチンで奏でるプチプチ音の量が半端ない。
このようなサンゴの平原部分が比較的狭い水納島の主要な砂地のポイントのリーフに比べれば、いったいなんじゃこりゃ?てなくらいの音量だ。
おまけに夏の水納島と違い、ボートやジェットスキーのエンジン音がひっきりなしに行き交うこともないから、純な「海の音」だけを楽しむことができる(自分の呼吸音はしますけれど…)。
シビれる深さで普段目にしないものをサーチするのもそれはそれで面白いけれど、今現在当たり前にある景色を体いっぱい味わえる浅いところもやっぱり面白い。
そんなサンゴの大平原には、ソフトコーラルもチョコチョコ育っていて、そこにお馴染みの貝がいた。
ご存知ウミウサギガイ。
慧眼なる皆様におかれてはすでにもうお気づきだろうけれど、このウミウサギガイ、産卵中だった。
ツトメを果たして干からびた無香空間(消臭剤)の粒々のような、丸い粒々が卵。
卵といってもこのひとつの粒から1匹のウミウサギガイがオギャーッと出てくるわけではなくて、ひとつの粒の中には小さな小さな卵がゴシャッと入っている。
ひとつひとつの粒は、いわば卵たちのカプセルなのだ。
肉眼ではまったくわからないけど、撮った画像を大きな画面で見れば、なるほど、ひとつのカプセルの中に顆粒が充満していそうな気配が…。
その後発生が進むと、カプセルの中身が重力によって偏ってくるそうで、その様子は球体にしたコンタック600のようになるという。
それはそれで観てみたい…。
ところで、多くの貝で観られるこのカプセル方式の卵から生まれるのは、オトナとは似ても似つかないベリジャー幼生という段階のものなのだそうな。
孵化後ベリジャー幼生は浮遊生活を送るから、何千何万という小さな貝がたちまちこのソフトコーラルに群がるわけではない。
もう1匹のウミウサギガイのそばには、随分前に孵化が終了しているように思われる卵の跡があった。
今頃幼生たちは、そこかしこに浮遊しているのだろうか。
ときおり口内を湿らせるために海水でグチュグチュする際、なにげにベリジャー幼生を口に含んでいたりして…。
Posted by クロワッサン at 06:34│Comments(0)
│水納島の海