2025年05月07日
婚活アミメ。
2025年 5月6日(火) 夜明け頃まで激雨のち晴れ
南西のち北西の風 荒れ模様のちやや波あり
梅雨入り時特有の激雨&雷…
…に見舞われたのは未明から夜明け頃にかけてのことで、朝になると雨は落ち着き、やがて薄日が差すようになってきた。
そして連絡船が到着する頃には、まずまずのお天気に。
この日に限らず、どうもここ1~2年の天気が移り変わるスピードは、悪化するにせよ回復するにせよ、気象台の予報よりもが速い気がする。
「スピード感をもって…」と言いながら結局なにもしない政府とは違い、お天気の移り変わりは相当なスピード感になっているようだ。
でも雨が上がったからといっても、夜明けまでのあの雨じゃこの日離島に行こうだなんて誰も思わないだろうし、そもそも今日は多くの方が移動日ということもあってか、連休最後の行楽日和にもかかわらず日帰り客の数はさほどでもなかった。
それなりに海日和で、洋上もボートで混んでいるわけじゃないとなれば、さっそく海へGO!
…となりそうなところ、夜明けまでの雷雨ですっかりその気が失せてしまったので、本日はのんびり過ごすことにした(海に行ったとしてものんびりなんだけど…)。
というわけで、クマノミたちやギンポのために話題に上がることがなかったチョウチョウウオの話。
シーズン中にはちょくちょく足を運ぶ岩場のポイントのとある場所には、アミメチョウチョウウオがペアで居ついていた。
潮通しのいいわりと深めの岩場環境を好むアミメチョウは、砂地のポイントのリーフ際などでは迷鳥ならぬ迷チョウがたまに1匹いるくらいで、基本的にまず観られない。
そもそも個体数が少ないから、岩場のポイントの深いところに行ったからといっておいそれとは会えないアミメチョウチョウウオ。
それがペアでいる様子を恒常的に観られるというのは、なにげにレアケースなのだ。
アミメチョウの姿はこれまでに何度か写真記録に残してはいるものの、そういえばペアの写真は撮ったことがないという事実に思い当たり、先日はそれも目的のひとつにしていた。
で、幸先よく件の場所でアミメチョウと遭遇。
ところが、パートナーはアミメチョウではなく、カガミチョウになっていた。

かつてのパートナーが不慮の死を遂げたのだろうか。
服喪中につき黒白カラーの相手を選んでいるというわけではなく、カガミチョウとアミメチョウはハイブリッドがチョコチョコ観られるほど近縁なので、個体数が多いカガミチョウをパートナーにし(ようとし)ているアミメチョウ…というケースはそれほど珍しいわけではない。
ただしいずれの場合もアミメチョウが言い寄る側で、このペアの場合も、カガミチョウが行くところどこまでもついていく…というくらいのしつこさでアミメチョウが頑張っていた。

その様子はペアというよりもストーカーといったほうが近く、カガミチョウが岩肌の何かを啄もうとすると、すぐさま同じように岩肌をつつこうとするアミメチョウ。

傍から見ているとカガミチョウの邪魔をしているようにしか見えず、カガミチョウ自身も相当うざがっている様子。

ご賢察のとおり、どう見てもアミメチョウがオスで、カガミチョウがメスなのだろう(カガミチョウのお腹はポッコリ膨らみ始めてもいる)。
すなわち、種類は違えどオスの懸命な婚活。
なので共にエサを啄むだけではなく、メスに対するアピールも怠らない。

近づきすぎると反射的にパッと背ビレを広げるものだけど(上の写真のカガミチョウのほうはその反射行動と思われる)、このアミメチョウの場合は反射的にこのように背ビレを広げているわけではなく、メスに対して広げて見せているっぽい。
そのため一瞬で閉じるのではなく、広げたまましばらく静止していた。
カガミチョウが泳ぎ始めても、アミメチョウはついていきながら背ビレを立てっぱなし。

ここまでアピールされてもカガミチョウにはまだそこまでのキモチはないようで、アミメチョウを袖にして、つれなく居場所を変えるのだった。

アミメチョウの「あらら…?」という顔が切ない…。
翌日同じ場所を訪れたオタマサによると、この異種ペアは、もう1匹カガミチョウが加わった異種トリオになっていたという。
カガミチョウにかぎらず、チョウチョウウオ類ではトリオで行動している種類がわりといて、カガミチョウもそのひとつ。
それはパートナーが不慮の死を遂げた場合の保険…と見えなくもないんだけど(生理学的にチョウチョウウオ類も1匹が両性の機能を有していることが判明しているそうな)、時々その「保険」の立場らしき者がオスに対して反旗を翻していることもあるから、横恋慕しているオスがつき従っているだけ…なのかもしれない。
保険であれ横恋慕であれ、同種であればともかく異種が混じるトリオとなると、アミメチョウはたちまち「保険君」もしくは「横恋慕君」に格下げされるんじゃ…。
ハイブリッド出現率の高さを思えば、カガミチョウたちはアミメチョウを「異種」と認識していないかもしれない。
となると、この服喪中のアミメチョウにもチャンスはあるか?
Posted by クロワッサン at 08:15│Comments(0)
│水納島の海