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2012年12月17日

大きなシアワセと小さなシアワセ

2012年 12月16日(日) 晴れ夜雨

南の風 おだやか

 土曜日に、琉球大学ダイビングクラブOB会の忘年会があった。
 もちろん宴席は那覇である。
 にもかかわらず、北部の、それも離島に住んでいる僕が、どういうわけか毎年幹事をすることになっている。

 毎年の恒例にしようと思い立った第1回の際に幹事をしてしまったのが運の尽き。以後、永代幹事を拝命してしまった。

 そんなわけで開催の案内をする係でもあるので、陸の孤島で一人無聊を慰めている鳥羽のタコ主任にも声をかけたところ、何を血迷ったのかたった一夜の宴席のためにわざわざ三重からやってくることになった。

 12時前に空港でピックアップしたあと、沖縄そばを食べたいというので案内することにした。

 彼の場合、オボロゲに食べたいとは思っていても、けっして具体案はないので、主導権は我々にある。
 で、行ってみたのが南部のお店、屋宜家。

大きなシアワセと小さなシアワセ


 実際の屋宜さんの住居だった伝等建築の赤瓦家を店舗にしているお店で、その建物は現在国の登録有形文化財になっている。

大きなシアワセと小さなシアワセ


 こういうお店を観光ガイドブックがはずすはずはなく……というか、客のすべてが観光客だった。
 地元のヒトじゃ考えられないけれど、ナニゴトも並んで待つのが得意な日本人。12時過ぎということもあって、店先には順番を待つ人々の姿が。

 沖縄そばを並んでまで食べるなんて、人生初のことだ……。

 それもこれも、鳥羽からわざわざやってきたタコ主任のためである。我々も観光客の気持ちになって、甘んじて順番待ちを受け入れよう。

 タコ主任といえば悪天候が付き物のヒトなのだが、どういうわけかこの日お天気は良かった。おかしい、このままで済むはずはない……。

 青空に映える赤瓦をながめつつ、庭木を鑑賞したりしているうちに、ほどなく順番がまわってきた。

 昔ながらの沖縄の家の中にテーブルが並べられている。
 まるで民家にお邪魔したような雰囲気。

大きなシアワセと小さなシアワセ


 しかし我々が案内された席は……

大きなシアワセと小さなシアワセ


 ……本来は仏壇である場所の前なのだった。
 仏壇の前にたたずむタコ坊主。ププッ。

 そうこうするうちに、お待ちかねのそばが運ばれてきた。

大きなシアワセと小さなシアワセ


 ここのウリのひとつである、アーサーそばセット。

 そのセットには、ジーマミー豆腐やモズクといった副菜のほか、お碗に盛られたジューシーもついている。久しぶりに沖縄に来たタコ主任にとっては、特にジューシーは味わっておきたいメニューのひとつでもあった。

 ところが!

 「すみません、今日はもうジューシーが売り切れてしまって、おにぎりか白米になってしまうんですけど……」

 やはりタコ主任、持っている……。

 さて、肝心のそばは。
 そば自体にもアーサーが練りこまれているというこのアーサーそば、普段の我々はなかなか食する機会がないから迷わずこれを選んでいたのだけれど、沖縄そば自体が久しぶりのタコ主任、何も我々に合わせてアーサーそばという変化球を選ばなくてもいいのに……。

 アーサーはたっぷりで、その香りも味もたっぷり味わえたのはいいものの、肝心の出汁はこれといって…という感じで、アーサー入りというそばもこれといって特徴はなく、特に安いわけでもない。
 やはり観光客向けというところか。
 たしかに、「そばじょーぐー」という沖縄そば屋情報本では、「フォトジェニックなお店」というところで紹介されていた。たしかに、家も庭も見ごたえ充分ではあるけれど……
 ……味は関係なかったのね。

 って、並んでまで食べたタコ主任っていったい……。

 その後、ちょこっと南部の海岸に寄ってみた。

大きなシアワセと小さなシアワセ


 ここは「ジョン万次郎上陸の地」として知られる大度海岸で、我々は「米須(こめす)」と呼んでいた。僕らが学生の頃からすでにダイビングポイントだったのだ。特に冬場、強い北風で西海岸の主要スポットに潜れない時などに重宝したものである。

 そう、このあたりを巡る多くの観光客は「戦跡めぐり」だけれど、我々の場合は「潜跡めぐり」になるのである。

 当時この海岸には、人工物といえば護岸と朽ちかけて藪に包まれた不気味なトイレしかなかった。携帯電話も何もなかった当時、もしここで何かが起こった場合はどのような連絡手段を用いるか、ということも、真面目にダイビングに取り組む我々学生には大きな課題のひとつだった。
 世の中便利になりましたなぁ……。

 便利と言えば、未舗装のだだっ広い海岸だった駐車スペースなんて、今ではこんなに立派になっているのだ。

大きなシアワセと小さなシアワセ


 写真だけだとイマイチ伝えきれないけれど、かつての姿しか知らないヒトがここに来たら、まるでミスクロワッサンが巡視船に生まれ変わったほどの変貌ぶりに驚くこと必至。

 もっとも、昔と今とどっちが良かったかというと、意見が大きく分かれるところだろうけれど………。

 さて、夜に備え、定宿船員会館にチェックインしてしばしの休息をとったあと、いざ忘年会へレッツゴー!!

大きなシアワセと小さなシアワセ


 場所は久茂地にある「縁(えん)」。
 世の中便利になって、自身が来たこともないお店を、離島に居ながらにして情報チェック、そして予約までできてしまう。

 3時間飲み放題、もちろん生は発泡酒なんかじゃなく、そして20名以上なら貸切OK!!

 ということで、お店を借り切っての忘年会。
 参加者には、イオングループから冬のギフト割引券セット、沖縄製粉から「ウコンにトコトンしじみ800個分」、そしてうみまーるの2人からはステキなカレンダーが、一足早いクリスマスプレゼントとして参加者に配られた。

 しかも!!
 今宵の宴席には、めでたいサプライズが。
 なんと、参加者の結婚報告が2件もあったのだ!!<もちろん、タコ主任は関係ありません。

 そのうちの1組は、なんとかつてクロワッサンでドレイをしてくれていたこともある元ドレヤン・ナカオと同級生K嬢。ローテンション男として知られる彼なのに、いつになく忘年会参戦表明メールのテンションが高いと思っていたら……そういうことだったのね。

 何度か島にも遊びに来てくれたことがある彼らが、ついに来年6月に華燭の典を!!

 今宵の店名が「縁」だなんて、できすぎているなぁ……。
 宴席が一足早い祝いの宴となったのは言うまでもない。

大きなシアワセと小さなシアワセ


 そんなめでたい席である。もちろんこの方も一肌脱いだ!!

大きなシアワセと小さなシアワセ


↑御歳51。


 そんなこんなで、老(?)若男女が揃った1次会は、参加予定者に一人の欠席者もなく、めでたい話が続くうちにあっという間に3時間が経過してお開きとなった。

 幹事の務めは終わった。
 では院長、あとはよろしく!!

 で、2次会。
 さきほどめでたい話を披露した元ドレヤン・ナカオ、なんと今宵、日付が変わると彼の誕生日だということが発覚。
 すかさず店のヒトと画策した院長のおかげで、いきなり電灯が消えたかと思ったら、バースデーソングとともにロウソクが灯った島豆腐が。

 おまけに2人のためにブーケまで用意された。

大きなシアワセと小さなシアワセ


 ナカオ、ホントにテンション高いッ(爆)。

 いやあ、シアワセっていいもんですなぁ。
 そう、シアワセなんて、その気になればどこにでも転がっているものなのだ。

 が。
 ここに一人、どうしてもそれが転がってこないヒトがいた。
 そんな彼を、ナデナデでして慰める海洋写真家。

大きなシアワセと小さなシアワセ


 強行軍で来沖しているタコ主任、いつもならこのあたりでエネルギーが尽きかけ、舟を漕ぐタコになっている頃である。
 また、酔えば酔うほどに静寂に包まれていく海洋写真家も、すでにそのあたりで寝ていてもおかしくはない。
 ところが今宵は、2人とも一味違った。

 負けず嫌いの海洋写真家は、ただ単にタコ主任よりも先には沈しないという決意の表れだったろうけれど、タコ主任には今宵大きなテーマがあったのだ。

 東大へ行きたい。

 いや、今さら勉強しなおして東京大学に行くというわけではない。栄町にこの店ありと謳われた「おでん東大」である。

 今や空前の栄町ブームで、多くの観光客もその界隈に訪れているため、東大もいつも満員御礼という。
 しかし今のように超有名になる前から、一部のOBの皆さんの間では、我が家のごとく落ち着けるお店として存在していたのである。

 そんなお店に、タコ主任はこれまで一度も入ったことがない。

 過去に彼が何度か訪れている忘年会でも、東大に行くチャンスはいくらでもあった。
 が、一度は3次会に達する前に沈、一度は栄町の火事騒ぎの当日で、本人は元気だったのに行けず、という、やはり持っているとしかいいようのない彼だったのだ。

 そんなタコ主任に、是非東大を案内してあげたい!

 ……と、なちゅらる院長は考えた。
 酔っ払っているようで実は冷静な院長、タコ主任が意外に元気を維持しているのをチェックしてくれていて、3次会はもちろんここ、

大きなシアワセと小さなシアワセ


 東大!!

 ついにタコ主任、念願かなう……の巻。
 先輩思いの後輩がいてくれてよかったねぇ。

 年末の沖縄で小さな小さなシアワセを見つけ、タコ主任は帰っていったのだった。


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Posted by クロワッサン at 08:28│Comments(0)日々の徒然
 
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