2018年12月14日

猛毒魚。

2018年 12月13日(木) 曇り

北東の風 波あり 水温24度くらい
 
 一夜明けてもスッキリいいお天気になったわけではなかったけれど、風は幾分おさまり、これなら連絡船は通常運航しそう。
 
 …となると、北風を避けて連絡船用バースに停めておいたうちのボートを元に戻さなければならない。
 
 東側に避難させることができて便利になったのはいいものの、唯一の弱点が、係留するたびにいちいち泳いでロープを結んだりほどいたりしなければならないってところ。
 
 そのためこの日も朝早くからひと泳ぎ。
 
 すると、一昨日紹介した眼下のハナブサイソギンチャクの様子が変わっていることに気がついた。
 
 いつ観てもブロッコリーのようになっている触手の形状が、「普段ダイビング中に砂底で観るもの」と紹介しているタイプの形状になっていたのだ。
 
 触手の形状の違いは、そもそもハナブサイソギンチャクの個体ごとにタイプが異なるものと思っていたら、どうやら気分や状態で変わるものらしい。
 
 記憶をたどってみても、ダイビング中に観るハナブサイソギンチャクの触手がブロッコリーのように縮こまっているのは観たことはないけどなぁ……。
 
 話は変わる。
 
 当サイト最大の徒労コーナーである「水納島の魚」、そろそろテングカワハギでも…と思い立ち、「カワハギの仲間」を前日にアップし始めたところ、なんともタイミングのいいことに、世の中を騒がすカワハギのニュースが流れていた。
 
 この方。
 
猛毒魚。

 ご存知ソウシハギ。
 
 海中で出会うこともあるダイバーを除けば、人知れずひっそりと暮らしているはずのソウシハギが一躍メジャーに躍り出たのだ。
 それも「猛毒魚」として。
 
 三重県の市場で「カワハギ」として売られていた魚が実はソウシハギで、ソウシハギには猛毒があるから大変だ!! とマスコミは大騒ぎである。

 たしかにソウシハギの内臓には、パリトキシンという侮れない毒があり、けっして口にしてはいけないものではある。
 
 しかしマスコミはまったく報道していなかったけれど、沖縄でセンスルーと呼ばれるソウシハギは、漁獲量は僅少ながら、押しも押されもしない食用魚なのだ(奄美地方でも)。
 
 沖縄や奄美のソウシハギには毒が無いわけではなく、「内臓は食べてはいけない」ということを知ったうえで、刺身や煮つけ、はたまたセビーチェ、ムニエルにして食している。
 
 カワハギの仲間だからその身は上質の白身で、1、2度いただいたことがあるお刺身はことのほか美味しかった。
 
 センスルーの実力を我々に最初に教えてくれた機関長も、夜中に獲物を求めて泳いでいるときに目の前にこの魚がいようものなら、躊躇なくゲットしてその夜のうちに刺身にして食べることだろう。
 
 実際、ネットで「センスルー(ソウシハギ)の食べ方」と検索すれば、いくらでもヒットする。
 
 …ということを1ミリも知ろうとすることなく、猛毒魚のソウシハギが市販された!!とセンセーショナルに騒ぎ立て、かかわった人々の責任の所在をのみ正義面で追及するマスコミの短絡報道。
 
 たしかに「カワハギ」と称して売りさばいた卸元もどうかとは思うけど、地域的にこれまで水揚げされなかった魚が、温暖化か何かが原因で漁獲されるようになってしまったがための、いわば「無知なるがゆえの事故」であろうことを思うと、今後他魚種でだって起こりうる話でもある。
 
 そのあたりのことに注意を促すような報道はできないものなのだろうか。
 
 今の時代、報道大手各社ですら東京スポーツや日刊ゲンダイ程度だ、と思ったほうがいいのかもしれない。
 
 それはともかく、静岡ではサクラエビが獲れない、大間じゃマグロが揚がらない、全国的にイカが不漁、その他あっちゃこっちゃで水産資源の漁獲量が減少傾向……となれば、やがてソウシハギだって食べなきゃやっていけないという日が来るかもしれない。
 
 その日のために、今のうちから覚えておきましょう。
 
 ソウシハギは、内臓を食べてはいけません。
 
 でもその身はとっても美味しいです♪



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Posted by クロワッサン at 07:43│Comments(2)水納島の海吉田兼好
この記事へのコメント
ヒョウモンダコも去年だったかなぁ。伊豆で発見!地球温暖化の影響?って煽るような報道してたけど、昔からいるしー。サメも海水浴場にハンマーヘッドって大騒ぎすることあるけど、昔からいるし・・・。なんか大げさなのが多いね。
Posted by 泉ちゃん at 2018年12月16日 03:21
どちらかというと、
夜な夜な海から青白い光とともに上がってくる
プランクトン愛好ダイバーのほうが、
一般社会的にはよほど「危険生物」ですよね(笑)。
Posted by クロワッサン at 2018年12月16日 15:44
 
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