2020年12月21日
赤い縁取りのナゾ。
2020年 12月20日(日) 曇り
北東の風 時化模様
前日朝の通知どおり、今日も朝から全便欠航。
今月はもう20日だというのに、連絡船が運航したのは合計7日に満たないのだから、減便運航も1日単位じゃなくて週単位になったかのようだ。
でもただでさえありえない港の中途半端さに加え、メチャクチャなお天気がもたらす時化の連続となれば、もはや文句をいうヒトもいない。
というか、無理に運航してもらって大トラブルになり、その後3ヵ月くらい修理のためにドック入り…なんてことになってしまったら目も当てられないから、むしろ島民のほうから「出さない方がいいんじゃない?」という声が出てくるようになっていたりする。
もうすでにこれが「常態化」しているのだ。
なので北陸地方をはじめとする「初雪が大雪」の騒ぎも、あれは異常なのではなくて今後常態化すると考えておいた方がいい。
それにしても、群馬かどこかの映像で観た、「1日でこんなに積もった」の「こんなに」がとてつもなく半端なくてビックリしてしまった。
これが異常じゃなくて通常になる、と言われても困るだろうなぁ…。
いずれにせよ何度も言っているように、地球がヒトに優しかった時代は終っているのだ。
話は変わる。
このところ「お魚コーナー」ではカンムリベラの仲間を紹介していて、この日はこれまでに撮ったツユベラの写真を見ていた。
多くのダイバーにとってはツユベラというと可愛く派手な幼魚はお馴染みでも、オトナはアウトオブ眼中。
あ、ちなみに「アウトオブ眼中」って我々世代ならフツーに意味が分かる言葉だけど、若いヒトたちには「オヤジ用語」扱いで伝わらないことも多いらしいから(なんであれ意味を知ろうと努力をしないヒトたちが多いから?)お気をつけあれ。
オトナはそもそも小さなものを大きく写すマクロレンズでは撮れないサイズだから、かくいうワタシも完熟オトナの姿をほとんど記録してはいない。
でも昨年そういったサイズのものを撮れる画角のレンズを手に入れたこともあって、お馴染みではあるけれどなかなか撮る機会が無かった魚たちを記録に残すことができるようになっている。
これまでは観ているだけだったツユベラの完熟オスもそのひとつ。
可憐な幼魚の姿からは想像もつかないオトナの姿……というネタでよく例にあげられることも多いから、海中ではアウトオブ眼中でもオトナの姿をご存知の方は多いはず。
そんな周知のツユベラのオトナではあるけれど、この写真をご覧になって「ん?」と思われ方は、おそらく大橋巨泉から「スルドイッ!」と指をさしてもらえるはず。
ワタシは今年を含めた過去3シーズンに渡って海中でこのオトナを観ているようなのだけど、一度として「ん?」とはならなかった。
ところが今回ツユベラの写真を見ていて、ようやく「ん?」。
注目すべきはその尾ビレだ。
赤い縁取りは完熟オスとメスを区別する特徴なのかとばかり思い込んでいたところ、過去に撮った数少ない完熟オスの写真を見てみると……
こちらの尾ビレには、赤い縁取りがほとんど無い。
不思議に思ってベラ類変態社会御用達図鑑「ベラ&ブダイ」のツユベラの項を見てみると、オスの尾ビレの特徴もメス同様「先端が黄色い」と紹介されているし、掲載されているオス相の写真の尾ビレはキレンジャーだ。
ではこの赤い縁取りっていったい??
気になって夜も寝られなくなりそうだったので、ツユベラを画像検索して、ここまでクッキリハッキリ尾ビレに赤い縁がある写真を探してみたところ、似たような感じの写真を発見。
さっそくそのウェブサイトを見てみると、それは多種多様な分野の様々なスペシャリストが著述するコラムを掲載しているManabi JAPANというサイトで( 運営はシダックス(株))、その様々な分野のうちの「自然」のコーナーのひとつ「海の中の素敵な仲間たち」という枠で紹介されているツユベラの写真だった。
そのコーナーを担当しておられるのは、誰あろう天下の大御所水中写真家大方洋二さん。
その記事中で大御所は、赤い縁取りのツユベラについて
尾ビレの縁がオレンジ色になるのは珍しい
と写真付きで解説しておられるではないか!!
どこの馬の骨とも知れぬダイビングサービスのオヤジ(ワタシのことね)が「珍しい!」と叫んだところで誰も見向きもしてくれないけれど、天下の大御所がおっしゃるのだから、これはもう三つ葉葵の家紋入り印籠を手にしたも同然だ。
やっぱ珍しかったんだ、赤い縁取り!!
そういえばこのツユベラのオトナ、普段ちょくちょく会うオトナのツユベラに比べてやけにでっかかったから注目したのだった。
赤い縁取りは老成の印か??
この場所には2個体いるようだから同一かどうかはわからないけど、2年前に同じ場所で撮った動画のツユベラの完熟オスも、赤い縁取り付きだった。
2年前から観てたんじゃん……。
というか、完熟オスは一部を除いてそこで撮ったものばかりだから(ここまででっかいオスは他の場所では近寄らせてくれない)、次からはノーマルキレンジャーテールのオスに注目することにしよう。
あ、ツユベラの幼魚ってどんなの?という方は、アップしたてのこちらをどうぞ(内容は重複してます)。
Posted by クロワッサン at 09:20│Comments(0)
│水納島の海