2023年01月08日
散歩でワイルドライフ。
2023年 1月7日(土) 晴れ
北の風 荒れ模様
天気予報どおり前線通過後に風が回り、やや強めの北風になった。
それは前日の時点でわかっていたこともあって、連絡船は昨日の時点で早々にこの日の欠航を決定していた。
近年は冬場は欠航しているほうが「通常」という感覚になっているから、むしろ欠航したほうが落ち着く…。
強めの北風とはいえお天気は布団を干せるほどで、風にさえ当たらなければ日差しの下はポカポカ陽気。
冬至も過ぎて少しずつ日が長くなってくるから、クワの葉の成長を促してくれることだろう。
今朝もいつものごとくそのクワの葉を求めて歩いていると、モクマオウの枯木に止まっているサシバが、高らかに美声を放っていた。

秋になると水納島に渡ってくるサシバが毎年数羽ほどいて、そのまま春まで島で過ごす。
冬から春にかけてのこの時期は、海の中ならザトウクジラの声、陸上ならサシバの声が、ともに季節の風物詩なのだ。
猛禽だけに、このように鳴いているとなんだか怒っているように見えるけれど、この時は少し離れたところに立っている同じような枯木にあと2羽ほどいて、それぞれがそれぞれの声に反応しながら鳴いている様子は、なんだか楽しげに鳴き声を競い合っているようにも見える。
なにげにゴキゲンなのかもしれない。
サシバの声といっても夏しか沖縄にいらっしゃらない方にはまったく無縁だろうから、この機会にどうぞ(風の音や手ブレはご容赦ください)。
このように止まっているときに鳴くこともあれば、空に舞いながら鳴いていることもある。
それは、オフシーズンにしか聴くことができない、島の音楽。
夕刻裏浜に来てみると、潮が満ちてきている干潟に、水納島ではさほど多くはないシギの仲間の姿が見えた。

キアシシギかその仲間と思われる。
県内では春や秋の渡りの季節に数多く飛来してくるそうで、その一部が越冬するそうな。
真冬のこの時期にいるってことは、彼(か彼女)は選ばれし「一部」なのだろう。
単に落ちこぼれなのかもしれないけど…。
でも裏浜での暮らしも慣れたもので、こうして水面下をサーチしては…

…小さなカニをゲットしていた。
そうだ、エビやカニといえば。
すでに潮は満ちてきていたけれど、満潮ラインくらいならまだタイドプールが残っているかもしれない。
というわけでカモメ岩に行ってみることにした。
目当ては、潮が引くとタイドプールになるような、ごくごく浅いところをもっぱらの暮らしの場にしているヤドカリさんだ。
テケテケ歩いてたどり着くと、満潮にはまだもう少し時間があったので、タイドプールがわずかに残されていた。
さっそく覗き見てみると、一発ツモでヤドカリさん発見。
それもサンゴヤドカリ系だ。
引っ込む前に一瞬見えた手脚の感じだと、まだオタマサコレクションには入っていない種類か、もしくは若齢個体のような色柄に見えた。
もっとも、水面越しに観るしかないので、そのままだと誰やらさっぱりわからない。
そこでヤラセをさせてもらうことにし、いったん引っ込んだヤドカリさんを上向きにして置いてみた。
最初はまったく無反応で、このまま一生出てこないんじゃないかと思いかけた頃にようやく…

手脚や触角の先っちょが。
これなら、殻からもっと身を乗り出してくれれば、水面越しに撮っても種類がわかるはず。
さらに待つことしばし。
その間ジワジワと潮が満ちてきており、だんだん飛沫がプレッシャーになってきた頃になって、やっと…

出てきた!
…と思ったら、ちょうどそのタイミングでやや大きなうねりが波打ち際の岩に当たり、飛沫がこの水溜まりに降りかかってしまった。
水面に落ちる波しぶき、その波紋にビビるヤドカリさん。
おかげで、せっかく出てきかけていたヤドカリさんは、すぐさま引っ込んでしまった。

でも最初よりも引っ込み方が中途半端で、この様子ならすぐに出てきてくれるかも。
さらに待つことしばし。
潮はさらに満ちてきて、コンスタントに飛んでくる飛沫がジワジワと近づいている。
これで先ほどのような大きなうねりが来たら、コンデジが濡れちゃうかも…。
びしょ濡れになる危険もあるので、文字どおり潮時か…と諦めかけたそのとき!

おっ!

おおっ?

おお、シロサンゴヤドカリ♪
やはりオタマサがこれまで一度も撮ったことがない種類だ。
シロサンゴヤドカリは珍しくもなんともなく、浅いところでフツーに観られるサンゴヤドカリの仲間なんだけど、満潮ラインで最後まで残るタイドプールにいるくらいだから、相当浅いところを好んで暮らしているらしい。
なので普段のボートダイビングはもとより、リーフ内で潜っている時でもほぼフィンを着脱するような波打ち際にいるから、これまでダイビング中に遭遇したことがなかったのだ。
ここまで出てきて危険無しと判断したら、ヤドカリさんは大胆になってくるので、このあと着地すべく脚を伸ばしているうちに貝殻が転がって…

背中まで見せてくれたのだった。
そしてシロサンゴヤドカリは、ナニゴトも無かったかのようにトコトコと歩み去っていった。
発見から実に20分弱、時間がかかっただけに、妙な達成感に満たされた。
散歩のついでにワイルドライフ、なにかといつも時間に追われ続ける現代ニッポン人には、なかなかできないゼータクな遊びかもしれない?