2023年07月20日
雑魚魂。
2023年 7月19日(水) 晴れ
南の風 少し波あり 水温28度~29度
昨日はこの夏最大の試練を乗り越え、豆腐脳が弛緩状態だったために、書くのをうっかり忘れてしまったことがひとつ。
このところ浚渫工事の白濁レポートをしてはいるけれど、その白濁を避けて遠いところで潜った昨日は、往年の水納島の海を彷彿させるスペシャルクリアブルー!
山脈のように長く伸びる根の輪郭が、遠くまでクッキリ。
かつてはこれが当たり前だったというのに、今では涙が出そうになるほどにスペシャル懐かしい…。
この透視度なら、たとえ30メートル先にマンタが通りかかろうとも、余裕で確認できること請け合い(あいにくマンタは出なかったけれど、マダラトビエイには会えた)。
さすが7月の海。
そもそも7月のこの時期こそが、本来なら連日ベストコンディションの季節なのだ。
台風やら長引く梅雨やらで近年はなかなか味わえなかった「7月の海」を、久しぶりに堪能することができたのだった。
最初で最後かもしれないけど。
で、本日は。
うみまーるのカレンダーの小さいシリーズの7月の写真は、デバスズメダイの群れをバックに、ネッタイスズメダイが主役になって彩りを添えている。
ネッタイスズメダイはミドリイシ類のサンゴを住処にしているので、サンゴが健全なリーフエッジ付近でごくごくフツーに会える魚だ。
ところが先月、ごくごくフツーに会えるスズメダイなのに、全然フツーじゃないネッタイスズメダイに出会った。
尾ビレの付け根…というか、もっと大元から先がスッポリ欠損してしまっている。
欠損部分の傷痕はまだ生々しく、見るからに痛々しい。
いわば背骨が途中から切断された状態にもかかわらず、それでも他のネッタイスズメダイと同じようにサンゴ周辺を泳いでいた。
死ぬまで全力で生き通す魚たちとはいえ、この痛手では先は長くあるまい…
…と思いきや。
それからひと月以上経ったこの日、まったく同じ場所で…
…健在。
生々しかった傷痕はすっかり癒え、ただヘンテコな形というだけになって、同僚(?)と一緒にサンゴの上でエサをパクついていた。
なんという治癒力。
運動機能にハンディがある分、他のネッタイスズメダイに比べると警戒心はいっそう強く、サンゴの下に避難するタイミングが2テンポくらい早いけれど、こんな目に遭っていればそれも当然。
このような姿をご覧になって、推進機関上最も大切な尾ビレを失った状態で泳げるものなのだろうか?と疑問に思われた方もいらっしゃるかもしれない。
でも観ていると、案外フツーにスイスイ泳いでました。
この先もハンディキャップネッタイスズメダイにとってはけっして平坦な道ではないだろうけれど、この調子ならけっこう長生きできるかも。
それにしても魚たちって逞しい…。
これらの小魚を「雑魚」とはこれっぽっちも思わないけれど、古くは鈴木啓示、近年では上原浩治の精神をそれぞれ「草魂」、「雑草魂」というのであれば、魚たちの生きるチカラはまさに「雑魚魂」。
毎度のことながら、魚たちの「不屈の魂」に感服させられたのだった。
Posted by クロワッサン at 06:02│Comments(0)
│水納島の海