2023年07月27日

ガンテンメギス。

2023年 7月26日(水) 晴れのち昼から時々スコール

南東の風 波あり 水温30度くらい(リーフ内)

 遥か南海上を悠々と大陸へ向けて進んでいる台風5号の影響で、朝から南東の風が強めに吹いていたこの日。
 
 昨日の段階で海水浴場の遊泳禁止が決定していたこともあって、連絡船は減便運航となり、8往復のうち、朝、昼、夕前の3往復となった。
 
 もちろんのこと日帰りマリンレジャー業者さんも来ていないから、桟橋で風浪が遮られているビーチ側は、晴れているのにヒトッコヒトリーヌという、ビーチエントリーには最適の状況になっていた。
 
 そこでオタマサは、カメラを携えてイソイソとビーチへ。
 
 すると桟橋のコンクリート壁に、まめまめしい豆チョウの姿が。
 
ガンテンメギス。
撮影:オタマサ

 ご存知チョウハンのチビターレ。
 
 このような豆チョウハンはリーフの外ではまず観られず、リーフ内でも他のチョウチョウウオのチビチビのようにサンゴの枝間にいることがないので、オトナの数に比すれば意外なほどに、能動的にサーチしても出会う機会が少ない。
 
 その点桟橋の岸壁沿いなら、例年だと梅雨時くらいから1~2匹姿を現してくれることが多いのだけど、今年はこれまでまだ1度も見かけていなかったから、本年初のチョウハン・チビターレだ。
 
 オトナと出会う頻度的にはフツー種でありながら、ボートダイビングばかりしているとチビターレに会う機会はほとんどないチョウハンなのである。
 
 出会う機会がほとんどないといえば、そのあとオタマサが出会ったこちらの魚はさらに(個人的に)レアだった。
 
ガンテンメギス。
撮影:オタマサ

 海から戻ってきたオタマサが、記憶を頼りに図鑑を紐解きながら、「見慣れないメギスの仲間を見たんだけど、誰だろう?」と首を捻っていたこの魚。
 
 フィルム時代じゃあるまいし、写真を撮ってきたのなら記憶と比較するのではなく、画像と図鑑を見比べればいいじゃん、グーグル先生がすぐに教えてくれるんだし…。
 
 機器がどれほど便利になっていようとも、習慣は四半世紀前とまったく変わっていないオタマサのこと、グーグル先生で画像検索なんてことができるはずもないので、代行することにした。
 
 というわけで上の画像を目にしたところ、なるほどたしかにこれまで目にしたことがないメギスもしくはニセスズメの仲間だ。
 
 はたしてグーグル先生の結果やいかに?
 
 …と思ったら、さしものグーグル先生のチカラも及ばず(ベラの仲間たちが真っ先に出てきた…)。
 
 どう見てもメギスやニセスズメ系であることは間違いないから、そのあたりを重点的に探ってみることにした。
 
 ところがこの特徴的な背ビレの斑紋を持つ画像がなかなか出てこない。
 
 ひょっとしてレアもの?
 
 桟橋脇のごくごく浅いところにいるくらいだから、まさかこれまで誰も知らなかった系ということはあるまい。
 
 むしろそういうところにいるとなれば、案外誰もが知っている種類の誰もが知っているわけではない幼魚なのでは?
 
 オタマサによると、サイズはクレナイニセスズメくらいだったというから、オトナサイズでせいぜいそれくらいのニセスズメの仲間たちは、この場合該当しないことになる。
 
 誰もが知っているこの系統の魚で、オトナサイズがこれよりももっと大きい種類といえば…
 
 メギス?
 
 メギスに絞ってビンゴ!な画像を探ってみたところ、ようやく背ビレに斑紋を持つ画像が出てきた。
 
 はたしてこの魚は、やはりメギスの幼魚~若魚だったのだ。
 
 ちなみにリーフ内でもリーフエッジ下付近でもフツーに観られるメギスのオトナはこんな感じ。
 
ガンテンメギス。

 この赤いボディのオトナ(メスはもっと深緑色)は見慣れていても、これまで幼魚にお目にかかったことはなかったなぁ…。
 
 ところで今回ひょんなことからメギスを調べることになって、知らなきゃよかった新ジジツを知ってしまった。
 
 一昨年くらいに、メギスのそっくりさんの「ガンテンメギス」なる種類が新たに加わっていたのだ。
 
 なんでも前世紀半ばに一度新種として記載されたものの、それはメギスと同種であるとされてその後一度消え去ったものが、今世紀になって精査され、やっぱり別種でしたってことで再登場を果たしたそうな。
 
 ではメギスとどこがどう違うの?
 
 それは体側の点々模様の配置で見分けられるという。
 
 メギスでは点々模様が体の真ん中ラインよりも上側に偏っているのに対し、ガンテンメギスでは体側全域に渡っているという。
 
 それに従うと、これまでメギスと思っていた↓この魚も…
 
ガンテンメギス。

 …ガンテンメギスということになる。
 
 では、これまでメギスのメスだと信じてきた↓これは?
 
ガンテンメギス。

 体側の赤い部分だけを見ると点々が上半分に偏っているように見えるけれど、その他の部分では体側全般に点々があるようだし、メスの特徴を記してある説明を読むかぎりでは、これはガンテンメギスのメスなのかも。
 
 なんてことだ、昨年ようやくメギスのメスを撮ることができたと喜んでいたというのに、振り出しに戻ってしまったではないか。
 
 というか先ほどの幼魚も、ホントに「メギス」ってことでいいんですかね??


同じカテゴリー(水納島の海)の記事
大当たりの日。
大当たりの日。(2024-05-13 08:54)

一輪開花。
一輪開花。(2024-05-11 07:54)

ミニマム&ダブル。
ミニマム&ダブル。(2024-05-07 06:52)


Posted by クロワッサン at 07:36│Comments(0)水納島の海
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。