2024年07月20日

お掃除の日。

2024年 7月19日(金) 晴れ一瞬雨パラパラ

南の風 うねりあるもおだやか 水温28度~31度

 ようやく南海に姿を現し始めたアヤシイ雲の塊。
 
 災害大好きで不安を煽ることを使命としているかのような気象情報系マスコミは、まだ熱帯低気圧になってもいないうちから、いつものごとく台風の進路予想で盛り上がっている。
 
 ハイテク予報には欠かせないスーパーコンピューターがフル稼働して計算した結果の予想なのだろうけれど、そもそも線状降水帯の発生ひとつしっかり予想できないスーパーコンピューターなんだから、台風になる前から各予報を見比べて四の五の言ったところでどうしようもない。
 
 それを海もわかっているらしく、この日はまさに嵐の前の静けさで、うねりは少々あるものの海面は陶器のようなツルッツルの質感になるほど凪いでいた。
 
 凪いでいるということは風がほとんど吹いておらず、陸に居たら暑いことこのうえない。
 
 しからば海へドボン!
 
 砂底を進んでいると、小岩のそばで若いモヨウフグがドテンと休憩していた。
 
 そのモヨウフグを、ホンソメワケベラカップルがクリーニングケア中。
 
お掃除の日。

 エラが重要ケアポイントのようで、モヨウフグもエラを全開にしてホンソメワケベラを受け入れている。
 
お掃除の日。

 エラのヒダヒダのところに食べ物のカスなどが詰まっていたら大変だから、こうしてホンソメワケベラにお掃除してもらうわけだ。
 
 でもエラは大事な器官だから、得体のしれない生き物(ワタシのことです)が近寄っているときに、おいそれと全開放していては危険極まりない
 
 なのでモヨウフグは、エラ穴を大き目に開けつつも通常の呼吸スタイルになるんだけど、ホンソメとしてはそこをケアし続けていたいから……
 
お掃除の日。

 …エラ蓋に挟まっちゃうのだった。
 
 ま、これはたまたまの一瞬のことなんだけど、こんな目に遭いながらもエラの掃除を続けるホンソメワケベラ、見上げたプロ根性である。
 
 やや深めの根に行ってみると、若いゴマウツボがエビの園で休憩していた。
 
 エビの園にはワラワラとスザクサラサエビたちがいるほか、ソリハシコモンエビやアカシマシラヒゲエビといった、いわゆるクリーナーシュリンプたちも犇めいている。
 
 もちろん彼らは、ウツボクラスの大きな魚がいれば、たちまちシゴトモードのスイッチが入る。
 
お掃除の日。

 ゼータクなことに、アカシマシラヒゲエビとソリハシコモンエビのダブルクリーニング。
 
 もちろんお口の中のケアも忘れない。
 
お掃除の日。

 目の周りの繊細なところは、ソリハシコモンエビのソフトタッチにお任せだ。
 
お掃除の日。

 …と、こうして画像だけ見ると、ゴマウツボはエビちゃんたちに身を任せ、能動的にクリーニングケアを受けているかのように見えるんだけど、実際の事情はどうもそうではないらしい。
 
 というのも、エビちゃんたちが体に載るのは許すゴマウツボなのに、そこでエビちゃんたちがセッセと仕事を始めると、たちまち身をくねらせてエビを払いのけてしまうのだ。
 
 最初は各エビちゃんの手技がよろしくなく、「チッ!」とばかりにダメ出しをしているのかと思っていたのだけれど、どうやらゴマウツボ君は全面的にクリーニングをしてもらいたくないらしい。
 
 そのゴマウツボのNo, thank youぶりを動画で。
 
 
 
 元の動画をPC画面サイズで見ればソリハシコモンエビたちが周りにワラワラいるのもわかりやすいのだけど、小さな画面で見えるだろうか?(ベンケイハゼもカメオ出演しています)
 
 このようにゴマウツボは徹底的にクリーニングケアを拒絶しているようなのだけど、それでもエビちゃんたちの繊細な脚タッチがあると、条件反射的に口を開けてしまうあたりが面白い。
 
 というか、体をチクチクいじられたくないのなら、そもそもの初めからこんなところにいなければいいのに、ゴマウツボ。
 
 その同じ根の違う場所で、意外な魚がアカシマシラヒゲエビのクリーニングを受けていた。
 
お掃除の日。

 ご存知ミナミハコフグ。
 
 まだ黄色いけれどもう白点が出ていることからわかるように、幼魚というにはすでにトウが立っているちょいチビだ。
 
 アカシマシラヒゲエビが数匹店を開いている暗がりでプワ~ン…と身を委ねると、アカシマシラヒゲエビはすぐさま反応してミナミハコフグに乗り移る。
 
 で、アカシマシラヒゲエビはどこをクリーニングしているのかというと…
 
お掃除の日。

 …やっぱりエラ穴。
 
 ミナミハコフグのチビチビを観て、普段彼らのエラなんて気にしたことなど一度も無かったけれど、なるほど、このようなエラなのだなぁ…。
 
 さきほどのモヨウフグと比べるとささやかサイズのエラ穴ながら、ミナミハコフグはエビケアを受け入れるべく、ちゃんとエラを開いていた。
 
お掃除の日。

 繊細タッチのケアが終了し、暗がりから出てきたミナミハコフグは…
 
お掃除の日。

 …なんとも満足顔なのだった。
 
 それにしても、ミナミハコフグといえば身の危険を感じると体表から強烈な粘液毒を出す魚のはず。
 
 アカシマシラヒゲエビが少しでもヘタを打ったら、すぐさま粘液毒が出てしまい、周りにいるキンセンイシモチやキンギョハナダイのチビなどが1匹、また1匹と死んでいったりして…。
 
 エビにも作用する毒なら、アカシマシラヒゲエビだって命懸けだ。
 
 だからこそ、まだ世間を知らない若いアカシマシラヒゲエビに白羽の矢が立っているのかな? 


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Posted by クロワッサン at 06:42│Comments(0)水納島の海
 
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