2024年08月30日
実はラストイヤー。
2024年 8月29日(木) 晴れたり雨降ったり
南西の風 大きなうねりあり
減便運航ながらもようやく連絡船が復活し、オタマサが買い物のために本島に出てくることができた。
そして名護で所用を済ませたあと、午後になってから大きなうねりを乗り越えて、久しぶりに島に帰還。
台風10号は九州を席捲しているようながら、「史上最強クラス」などと増すゴミが騒ぎ立てていたわりには、各地で観測されている最大風速は、台風銀座のオキナワからするとたかがしれたものでしかなかった。
それでも死者やけっこう多くの怪我人が出ているところをみると、これでホントに「史上最強クラス」の風が吹いていたら、いったいどうなっちゃうんだろう…。
九州に上陸してノロノロ進んでいる間に、洋上から得られる台風エネルギー供給が途絶えてしまった台風は、あっという間に暴風域を失ってしまった。
今や強風域だけ、しかも気圧は992ヘクトパスカル。
これじゃあ、冬場の低気圧と大して変わらない。
それでも増すゴミが台風台風と騒ぎ続けるのは、台風に刺激されていろんなところで大雨となるからってこともあるんだろうけど、こと風にかんしてはそれほど吹かなそうです…くらいのことは言えないのか気象予報士。
気象であれ地震であれ株価であれ、それぞれの専門家たちはたただた不安だけを煽ることが使命と思っているらしい。
さて、本日名護でのこと。
ピースケに乗っていたところ、国道58号をJAに向けて走っていた際、突然これまで体験したことがなかった警報ランプが点灯して警報音、そして車外ブザーというのでしょうか、ヘンな音が後方から発せられるという事態が出来した。
なんだなんだ?とそのまま運転していたら、ランプも警報音もブザーも3秒ほどで終わり、その後ナニゴトもなくなった。
きっと何かの気の迷いに違いない。
で、最後にカイトでパンを購入して本部町への帰路につき、海側の道は潮を浴びそうでイヤだから屋部から旭川経由で中山に出ようとしていた山道で…
突然タイヤがロックされるような、なんだか四駆状態の際のエンジンブレーキのようなアンチな力が発生し、車マークの後ろに波マークがついている警報ランプが点灯していた。
これまた数秒のことで終わったものの、度重なる異常警報、このまま放っておくわけにもいかない。
まだ昼時で時間に追われているわけではなかったから、名護にいるのを幸い、そのまま琉球日産名護店まで行くことにした。
昼休みの時間帯のためスタッフさんの数は少なかったのだけど、ともかく症状を説明していったいどうなってんでしょう…と縋るようにお訪ねしたところ、話を聞いてくれたヒトは整備の方々と相談し、まずは車をチェックしてみましょうということに。
で、最終的に得られた結論は…
なんとなんと、空気圧が低すぎるために車が微妙にヘンな動きをし、それゆえセンサーが反応してしまったのではないか、とのこと。
たしかにこのところピースケの空気圧が減っている感はあって、セルフ給油所でもどこでもいつでも空気は入れられるものの、まぁもう少しあとでいいか…と先延ばししていたのだった。
でも本来の正常圧力が2.3前後のところ、1.5くらいまで減ってしまっているとあっては、いい加減空気入れろよと言われても仕方あるまい。
状況から考えて、おそらくそれが原因であろうということで、とりあえず空気を入れてもらい、それでも警報が変に発せられるようならまたお越しください…で終了。
ここまでしてもらっても無料なんだもの、それに比べてただ薬をもらうだけにもかわらず取られてしまう病院の「診察料」の高さよ…。
結局その後異常事態はまったく発生しなかったから、スタッフさんたちの見立ては正しかったようだ。
さて、そんな琉球日産名護店店内にいた時のこと。
ショウルームで待ち時間がある方用に備えられている新聞を手にしたオタマサが、場所にそぐわない素っ頓狂な声で
「おお、出てる!」
何が出ているのかというと…これ。

琉球新報では1面に掲載されていたので、新聞を手に取ったらすぐにオタマサの目についたのだった。
これまでずっと、リゾート計画については奥歯にものがはさまっているかのような話しかお伝えできなかったため、なかにはリゾート計画自体が寝耳に土石流という方もいらっしゃることだろう。
たとえ奥歯にモノがはさまっていようとも、ちゃんと拙日記の内容を理解しておられた方は、リゾート計画についてはご存知だったはず。
でもその後いろいろな方面からコマ切れで耳にされた情報から、リゾート計画といっても島の一部のことだけ、と思われていた方もいらっしゃるかもしれない。
しかし実際は、この記事のタイトルでも明らかなように、
水納島全域リゾート計画
なのである。
たとえていうなら、一島全体がリゾートになっているモルディブ諸島の大き目の島のようなもの。
そういう話は、最初にリゾート計画話がチョロッと島民に説明されたあと、話を仕切っている不動産屋さんに直接出向いて伺った当時から聞いていたから、ワタシ自身は前々から知ってはいた。
ただしまだ行政方面への許可申請段階のため、その段階であれやこれやの横やりが入るとすったもんだになってしまうということで、行政方面への許可申請が落着するまでは、守秘義務じゃないけど具体的な話を公にはしないで…ということだったので、沈黙を守っていた次第。
これが島民挙げて反対している話なのだったら、ワタシ自身が横やりになるところなんだけど、なにしろ記事中にもあるとおり、住民を含めた全地権者から土地を購入しているくらいだから、島民としてはこの計画に賛意を示している形になっているのだ。
リゾート計画の話はちょうど水納小中学校が休校になった直後に出来していることからもわかるように、島の方々への話としては、「やがては学校も復活して…」なんてことのほか、雇用が生まれれば島に帰ってくる親族が…などなど、ブドウ糖液糖なみの甘い話のオンパレードだったのはいうまでもない。
すなわち島の皆さんは、島の存続をこのリゾート計画に託したのである。
そんななか、一坪の土地も持たない我々が「それはならぬ!」と己の価値観だけで反対などできるわけないじゃないですか、よそ者としては。
なので律儀に守秘義務(?)を守ってきたワタシながら、このように新聞発表されたということは、行政方面の許可申請が終了したと解釈していいわけだから、ここにきてようやくリゾート計画の全貌(?)をお伝えすることができるようになった次第。
全貌といってもそこまで詳しく住民説明会で語られているわけではないけれど、全体のイメージとしてはこんな感じ。

赤い線で囲われている部分すべて、リゾートとして切り開かれることになる。
細かすぎて見えないかもしれないので、半分ずつにしてみよう。
島の西側。

東側。

ちなみに上の図面の青い点部分が、現我が家です。
これを見ればおわかりいただけるように、現在島の皆さんが暮らしているエリアはそのままに、ということになっていて、なおかつ住民が島内を行き来する分には、リゾート敷地内の通行も制限しないという話になってはいる。
でもそれはあくまでも間に入っている不動産屋さんが島のヒト向けに言っていることであって、直近の説明会で来島していた設計者だったかなんだったかの話しぶりは、セキュリティ上どーのこーのといったニュアンスで、早くも不動産屋氏の話との齟齬がチラホラ見え隠れしていた。
いずれにせよ、この小さな島全部が自分の庭であるかのように過ごしてきた我々にとって、まるでネイティブアメリカンの居留地のように「みなさんはこちらでお住まいください」なんて言われて、この先暮らしていけると思いますか?
今でこそ耳障りのいい話ばかりしてはいても、やがてそのうちあれはどう、これはどうと様々な制限が出てくることは目に見えている。
実際、現在お墓地帯になっているところはリゾート設計上いろいろ不都合があるらしく、お墓の移動まで打診してきているそうな。
その条件として、「移設先のお墓は立派な大理石で造りますから!」だって。
でまた、みなさんほぼほぼその話を受け入れているんだもの、我々はただただ傍観するのみ。
いずれにせよ、この全域開発によって、ヤシガニたちの住処は奪われ、様々な鳥さんたちの姿も消えていくことだろう。
今夏リュウキュウアオバズクが4羽いたセンダンプロムナードなど、影も形も無くなるに相違ない。
という話が4~5年前からあって、それからジワジワと計画が進行していたわけで、我々としては「富裕層」という言葉が「それ何語?」となるくらいの全世界規模のとてつもない大不況が出来し、リゾート計画がオジャンになってくれはしまいか…という一縷の望みを抱くほかなかった。
まだその望みは完全消滅したわけではないとはいえ、30年前に「こういうところで暮らしてみたいなぁ…」と思った島とはすっかり様変わりしてしまう世界で、さすがにこの先も今までどおり暮らそうという気はまったく無い。
2028年の開業を目指すというこの計画は、今年4月に行われた直近の説明会によると、早くも来年1月から工事が始まるとのこと(すでに測量のための開拓は、学校より西側のエリアで大々的に行われている)。
ただしその前の説明会では2月からと言っていたものが1月に繰り上がっているところからして、次の説明会では今年中に始まる、なんてことになっているかもしれない。
1期工事は学校より西側エリアだそうで、道は舗装され、やがて両サイドに豪奢なコテージがズラリと並んでいくことになる。
そのような工事が始まってしまえば、とてもじゃないけどワタシは島で暮らしていられない。
ところがこんな話をお伝えしていてさえも、島に遊びに来る方々の中には、
「そう言わず住み続けてくださいよぉ」
なんて気楽に言うヒトがけっこういらっしゃる。
そりゃその方々のようにたまに遊びにくるだけなら、まだまだ楽しいところであり続けるかもしれない。
けれど、USJやディズニーランドの敷地内で暮らしているヒトがいないのと同じように、遊びに来るのと暮らすのとでは話がまったく違うのだ。
というわけで、完成までこの先10年はかかりそうな港の大規模改修工事、そして島内全域リゾート計画という2つの史上最強クラスの現状変更計画によって、島における我々の十年一日生活は、水納島在住30年目にあたる今年、ついにラストイヤーということになりそうだ。
ああ、まさか還暦前に路頭に迷うことになろうとは(一応住む場所はあるけど)、10年前には夢にも思わなかったなぁ…。
…とかなんとか言いながら、気がつけばリゾート内の土産物屋のオヤジになっていたらご容赦ください。
Posted by クロワッサン at 06:31│Comments(3)
│日々の徒然
この記事へのコメント
同じ記事をネットでタイトルみて、コンビニに新聞を買いにいきました。
いま、本部町にいるあいだは、常に水納島のシャツをユニホームにように来ているけれど、「どこで買ったんですか?」と尋ねる人がいるので、その都度ていねいに答えるようにしています。
リゾート内の土産物屋の一部コーナーの、オーナーになっていたりはしないのかな
いま、本部町にいるあいだは、常に水納島のシャツをユニホームにように来ているけれど、「どこで買ったんですか?」と尋ねる人がいるので、その都度ていねいに答えるようにしています。
リゾート内の土産物屋の一部コーナーの、オーナーになっていたりはしないのかな
Posted by 屋我地 at 2024年08月30日 08:20
ああ、あの島、あの海ではなくなるのですね。また古き良き田舎の風景が消えるのか、、、。
全島リゾート化とはバブルなんかな?
全島リゾート化とはバブルなんかな?
Posted by akapan@茨木 at 2024年08月30日 09:14
えー
Posted by 兄 at 2024年08月30日 10:35