2025年03月12日
新たな恋のはじまり。
2025年 3月11日(火) 晴れ
北東の風 おだやか 水温20度!
今日も時系列の天気予報ではずっと分厚い雲マークが並んでいたのだけれど、実際のお天気は朝からずーっと晴れ模様。
3月ともなれば亜熱帯の日ざしはなかなか凶暴で、うっかりお日様の下に居続けたらシロウト焼けしてしまいそうなほどだった。
お天気はいいし海況もバッチリ、しかも日中特段の用事もないとなれば、これは久しぶりに…
海日和!
さっそく朝のうちに準備して、海へGO!
ポイントについてドボンと飛び込んでみれば…
…メチャクチャ冷たい水。
今冬最低記録となる20度の水が、エントリー早々から肌を突き刺しまくる。
ボート係留用のブイのロープを取るために最初に飛び込んだオタマサなど、冷たさのあまりハフハフハフ…と呼吸困難になりかけていたほど。
約2ヵ月ぶりのダイビング、昨日は「海が呼んでるぜ!」なんて書いてみたけど、すみません、全然呼ばれてませんでした(クジラの声は聴こえていたけど)。
1年を通じて最も水温が低くなっている今の季節、でも昨年はこの時期にかなり頻繁にハナゴイの興奮やる気モードが観られたから、今年も今の時期は絶好調なのかな…
…と思いきや、ハナゴイさんたちはまったくやる気無し男で、誰もイエローテールになっていなかった。
水温が低い時期のほうが繁殖行動が活発なハナダイ類とはいえ、20度はさすがに低すぎるってことだろうか。
一方セナキルリスズメダイは、今年もすでにオスが卵を守っていた。

繁殖期のオスは額(?)のあたりが暗色になるのが特徴で、背後にある穴に入り込んでは卵をケアし、また出てくる…という行動を繰り返していた

穴の中の掃除もしているようで、このように穴の外に顔を出すときに、口からプハッ…と砂粒をたくさん吐き出す様子が面白かったのに、あいにくその瞬間を撮ることはできなかった。
待っていればまだ何度もやってくれたろうけれど、水が冷たすぎてジッと待っていられない…。
セナキ父ちゃんが束の間留守にしていた間に、中を覗かせてもらったところ…

…タマタマ~♪
産みたてっぽい卵たちが今季何度目のローテーションなのかは知らないけれど、4月になればそこかしこにチビチビたちが湧き出てくることだろう。
かろうじて卵チェックはできたものの、寒すぎてこのような細かいものを凝視しようなんて気にまったくならなかったワタシとは違い、オタマサはいつものように砂底で目を皿のようにしてウミウシサーチ。
すると…

アリモウミウシの親戚がワレカラとツーショット。
もう少し深いところでは…

我々が勝手にミンナウミウシと呼んでいる、正体不明のミドリガイの仲間とも遭遇したオタマサ。
この日は2個体いたそうで、2個体目はその水深での滞在時間リミットになっていたため、上からしか撮れなかったそうな。

どちらの個体も、これまで目にしたことがあるものよりも体色が随分濃いめで、なおかつこの2匹目は、ミドリガイ類特有の背のビロビロの部分が広がっているという、初めて目にするスタイルになっていた。
ところで、海藻の切れ端に乗っかっているのは、食事中ってことなのだろうか?
是非その口元を確認したいところながら、上からしか撮れなかったために定かならず。
ただ、一昨年には海藻に卵を産みつけていたから…

…きっとこのウミウシは藻食なのだろう。
リーフ際ではアメシストウミウシと思われるものの姿も。

5ミリプラス1~2ミリほどの小さなウミウシで、ある程度撮ったあとにそばを通りかかったワタシにも教えてくれようとしたオタマサだったのだけど、一度目線をはずしてしまったが最後、二度と居場所がわからなくなっちゃったのだった。
というわけで、ワタシは遭遇かなわず…。
もっとも、寒くて寒くて集中力の限界だったので、5ミリちょいほどのクリーチャーなんぞ指さされたところで、なにがなにやらわからなかったかもしれない…。
そんなリーフ際やリーフエッジでは、依然として白いままのイソギンチャクたちの姿がチラホラ観られた。

こんなに水温が低いのに、依然として褐虫藻が戻ってこないなんて、どんだけイソギンチャクが嫌いなんだ、褐虫藻。
白化以前と比べればサンゴは大激減しているのだから、サンゴが外に出してしまった褐虫藻たちにとっては戻る場所の多くが失われているはず。
であればイソギンチャクでもなんでも、選り好みせずとっとと体内に入っちゃえばいいのに…
…と常々思っていたんだけど、ひょっとして褐虫藻って、ひとたび宿主から出てしまうとそのまま即座に死んでしまうの??
このように真っ白のままのイソギンチャクたちが目立つ一方、褐虫藻が戻りかけているものもいた(茶色くなってきているところが、戻りつつあるところ)。

こうなってきたら、このタマイタダキイソギンチャクは間違いなく回復傾向であるといえる。
白化でダメージを蒙ったのは、宿主のイソギンチャクだけではなく、住人のクマノミたちも同様だ。
褐虫藻が抜けただけですぐさま死んでしまうことはないイソギンチャクたちも、主たる栄養源を失ったままの状態が続くと、やがて弱ってきてしまう。
同じポイントのリーフ際で長らく観察し続けている、クマノミペア在住ウスカワイソギンチャクも、昨年の白化で随分弱ってしまった。
元気な時は↓こんな感じだったものが…

…白化したあとだんだん弱ってきて、秋頃にはその体積はすっかり縮んでしまった。

縮んでしまうとイソギンチャクがペアを収容しきれなくなってしまったからか、長い間ずっとペアだったのに、とうとう独身に戻ってしまったクマノミ。
その後どうしているだろう。
この日久しぶりに訪ねてみたところ、依然として白いままではあったけれど、イソギンチャクの体積はほぼ復活していて、独身クマノミには…

…新しいパートナーが!
もともと激チビが触手の奥の奥にいたのか、それとも婿養子の口を見つけてどこかからやってきたのか。
ともかく苦難を乗り越えた果てに、新たな恋の季節が始まりつつあるクマノミたちなのだった。
Posted by クロワッサン at 08:36│Comments(0)
│水納島の海