2025年03月09日
失われたひと月半。
2025年 3月8日(土) 曇り時々日差し
東の風 ややうねりあり
風はすっかりおさまり、連絡船も本日は通常運航。
連絡船が運航すると、島に姿を現すリョウセイさんが、朝からセッセと畑仕事に精を出していた。
その後しばらくしてワタシがオタマサのあたいぐぁでガメ公用の野菜(伸びすぎてタワーになったサニーレタスなど)を収穫していたところ、どうにもおっさんくさい鳴き方をするウグイスの声が聴こえてきた。
鳴き始めだからヘタクソなのかな?
…と思ったら、それはリョウセイさんがワタシを呼ぶ口笛のウグイスなのだった。
なぜワタシを呼ぶのかというと…
…採れたてピチピチの立派な大根を持ってきてくれたから。
先月一時帰沖中にリョウセイさんからいただいた大根は、間引いたばかりの↓これくらいのサイズだったものが…
…たった2週間であっという間に立派な大根に育っているんだもの、野菜たちにとっての1週間2週間というのは、ゾウの時間ネズミの時間的解釈からすれば、我々の5年10年という月日に相当するに違いない。
1月21日からここまでの間、沖縄を留守にしていた期間を合計したら、およそひと月半ほどになる。
それがオタマサの畑の野菜たちにとってどれほど長大な時間であるかということを考えれば、「失われたひと月半」といっても過言ではない。
例年なら3月の初めには夏野菜を植え始めているから、その遅れを取り戻すべく、島に戻るやいなや急ピッチで畑シゴトをしているオタマサである。
一方、本島にいることが多いために合計すれば同じくらい時間が「失われ」ているはずのリョウセイさんなのに、そして昨年オフシーズンになってから畑仕事に取り掛かるスタートはビックリするくらい遅かったのに、本人が想定していたとおり大根が着実に育っているこの不思議。
丹精込めるのはいいけれど、実は要領が悪いんじゃなかろうか、オタマサ…。
そうは言いつつも、今年は秘密基地も島の庭のものも、トマトの味がいまひとつのような気がするのは、例年に比べてオタマサの不在期間が長すぎ、トマトたちが拗ねているからかもしれない。
そんな、植物が拗ねるだなんて…
…なんてことを言うのは、「動物愛護の精神から」という理由だけでヴィーガン料理を嗜好したりベジタリアンを標榜する方々にもきっと多いに違いない。
彼らに植物愛護という精神は無いけれど、植物たちだってしっかり生きているのである。
そして動物のような神経系はなくとも、そこには植物ならではの神経系があるに相違なく、そこに「感情」があってもなんら不思議なことではない。
いつもそばで鼻歌なんぞを歌っている主(オタマサのこと)がいなければ、そりゃトマトだって寂しく思うことだろう。
というわけで、トマトたちはこれから美味しくなってくるかも。
それはさておき、連絡船が動けばいそいそと島で畑仕事に励むリョウセイさんではあるけれど、みんな丸がドックに入る今月10日から10日間ほどは、代船はまかぜ号の船長という業務が待っている…
…はずだったんだけど。
先日もチラッとお伝えしたように、実はその初日にはまかぜ号の姿は無い。
てっきり修理or整備が間に合わないからだとばかり思っていたところ…というか、それはそれで一因ではあるのだけれど…船検が間に合わないから、というのが最たる理由らしい。
実ははまかぜ号はこのたびエンジンを換装したそうで、その場合船検の有効期間中であっても新規に船検を受けなければならないそうな(言われてみれば当然だけど)。
それをすっかり失念していたリョウセイさん&水納海運、慌てて船検の申請を出したはいいけれど、もとより検査を受けることができる週や曜日が限定されている北部地域の港のこと、日本小型船舶検査機構沖縄支部が本部町内で提供できる最速の検査日は、今月13日なのだった…。
本部町での船検など、多くて月に2回、この時期はおそらく月に1回かもしれないくらいだから、あと一週間早く…という予定がそもそも検査機構には無い。
なのでそのシステム上、申請した時点で最速が13日というのは仕方がないことではあるんだけど、それが一個人のボートのモンダイだけならともかく、それによってライフラインが途絶される住民や連絡船利用予定者のことをもうちょっと考えていいんじゃないの、小型船舶検査機構。
だったら他の船を使えばいいじゃん、と誰もが思うかもしれない。
でもここにもまた別のお役所の高いハードルがあって、海運会社は旅客船の登録を当局に提出しておく必要があり、今の世の中では登録外の船や船長をホイホイ気ままに利用することができなくなっているのだ。
これが20世紀の世なら、「だいじょーぶよぉ」のひとことでいくらでも他のボートを使えたろうし、検査だって多少は融通が利いたかもしれない。
でも人々が生きるためにルールがあるのではなく、ルールのために人々が生きる21世紀のニッポンでは、たとえ4日間ライフラインが途絶されようとも(3日間じゃなかった…)、キチンとルールを守り抜くのである。
さすが「楽しいニッポン」。
先月のことながら、一時帰沖するために羽田空港へ向かうべく山手線に乗っていたときのこと。
品川から京急に乗って空港へというのがこのところのルートだから、その日も池袋から山手線に乗った。
ごくごくたまに「品川駅止まり」なんてのに当たってしまうことがあったとはいえ、そこが中間目的地だからたとえそれに当たってしまおうと特にモンダイは無い。
ところがその日乗っていた山手線の列車は、それまでずっと合成ボイスのぎこちないアナウンスが流れていたものが、突如車掌にかわり、
「ご乗車中のこの列車は、車両の点検のために大崎駅までとなります」
というアナウンスが。
品川より先の駅に行く人たちは、大崎駅にて待ち合わせている別の列車に乗ってくれというのだ。
よほどの不具合が出来したらしく、たしか目黒よりも手前から繰り返しアナウンスし始めていたような気がするんだけど、大崎駅到着時に事態を理解していないヒトがあまりにも多いことに驚いた。
みんなスマホばっかり見ていて、大事なことは何も聞いてないみたい。
実際のところ車内アナウンスなんてほとんどのヒトが聞いてないようだから、いっそのことスマホ画面に無理矢理表示されるシステムにしちゃえばいいのに。
それにしても、そんな理由で下車しなければならないなんて、おそらく人生初のこと。
最近は多発してるんですかね?
ひょっとして、このままでは連結がはずれてしまう!という事態になっていたのだったりして。
いやホント、走行中の新幹線の連結がはずれてしまうだなんて、わざとやろうとしたって難しそうなのに…
…と思ったら、実は昨年9月にも同様の事故が起こってたんですね、東北新幹線。
走行中に連結がはずれるというのも、考えようによっては「楽しいニッポン」なのかもしれない?
衰退ニッポンの影がジワジワと生活に忍び寄ってきてるかのような東北新幹線のこの事故のため、当面連結運行はしないことになって、運行ダイヤはとてつもなく乱れているらしい。
それが利用者に及ぼす影響は、「はまかぜ号間に合わず」どころの話ではないのだった。
さて。
ときおり日差しも出ていたこの日は暖かく、先月はなかなか姿が観られなかった↓彼らも、随分活発になっていた。
ご存知ミヤコキンカメムシ。
季節的なものなのか、この日は成虫の姿しか見えなかったんだけど、「失われたひと月半」の間には、越冬隊状態で集団になっていたこともあるんだろうか。
昨年の初遭遇以来、ずっとチェックしていたというのに、いないときにかぎって越冬隊になっていたのだとしたら、かなりクヤシイ。
失われた時間といえば、海の中の世界ともすっかりご無沙汰している。
あと10日もすれば、ついにブランク2ヵ月ということになってしまうんだけど、もちろんこの30年でダントツ最長記録だ。
あのサンゴもこのサンゴも、とっくの昔にシロレイシガイダマシに食われちゃったかなぁ…。
ブランクといえば、秘密基地での毎日日曜大工も。
下駄箱を作るべく材料をカットして用意したまま、その後ひと月半すっかり手付かずになってしまっているから、当時頭の中だけにあった段取りがまったく消え失せてしまった。
リセットするのに時間がかかりそう…。
一方、失われた時間を有効利用している部分もあって、長らく続いた電車通勤のおかげで、今年のTシャツの構想ができてしまった。
先月の一時帰沖のうちにそれを具体化し、もういつでも注文できる状態になっているから、例年どおり4月には登場することだろう。
フフフ…無駄に電車に乗っていたわけではないのだ。
電車利用を無駄にしなかった新Tシャツとは…
それはヒミツです。
とにかくそういうわけで、「失われた」と言いつつも、その間向こうで過ごした日々にはこの30年間をすべて合わせた分以上に西武池袋沿線プラス周辺地域を楽しめたりして、むしろ得たものの方が多かったりする。
あ、そうそう、うっかり忘れていたけど、先月2月17日から、我々の水納島生活は31年目に突入しております。
昨年思い描いていたありようとは随分違ってしまっている今年、はたしてこのあとどうなりますことやら…。
この記事へのコメント
今朝ふと海を見ると見慣れたカラーリングの船が航行していました
水納丸を豊崎沖で見るのちょっと嬉しい(^。^)
水納丸を豊崎沖で見るのちょっと嬉しい(^。^)
Posted by ケンミンとーま at 2025年03月10日 12:54
それはレア体験ですね!
水納丸は糸満の西崎にある造船所にドック入りするので、
そのあたりにいると今度は船員さんも見かけられますよ(笑)。
水納丸は糸満の西崎にある造船所にドック入りするので、
そのあたりにいると今度は船員さんも見かけられますよ(笑)。
Posted by クロワッサン at 2025年03月10日 15:08