2025年04月10日
今日も決め手の銭が飛ぶ。
2025年 4月9日(水) 晴れ
南の風 おだやか 水温20度~21度
そういえば昨日はお釈迦様の誕生日だったのに、花まつりの「は」の字も漏れ伝わることはなく、ニュースといえばトランプ関税だの株価の乱高下だのそんなのばっか。
お釈迦さまもきっと涅槃で絶望しておられることだろう。
それにしてもプレジデント・トランプ、まさか国を挙げてインサイダー取引をするとはなぁ…。
そんなヒトを相手に
「ニッポンはフェアにやってますから!」
などと、涙ながらに力のかぎりり訴えるイシバ氏ゲルソーリもどうかと思うぞ、実際。
さてさて、花まつりの日に続き、本日も再び絶好の海日和!
しかも南風で暖かい!
さっそく海へGO!
…と行きたいところながら、実はこの日は朝から停電が予定されている工事が行われることになっていた(リゾート開発に向けたものか?)。
数日前にバージで高架作業車とトラックが何台も上陸しており、この日は停電を伴う電柱の工事が行われるのだ。
それも通告されている予定では停電期間は、9時30分から12時まで。
そんななか海に行ってしまったら、上がってきてからシャワーを浴びれないじゃん!
というわけで、遅くとも予定時刻までには工事が終わることを信じ(作業スタッフに確認はした)、12時くらいに帰ってくるくらいのタイミングで、朝遅めに海へGO!
いいお天気続きだというのにエントリー直後の水温は相変わらず20度だったものの、おそらくは港の工事由来と思われるリーフ際の濁り以外はおおむねコンディションは良好で、流れもほとんどないから海中までウェルカム状態だ。
それにしてもこの冬から春にかけての水温の低さよ。
陸と同様、今季は海中も久しぶりに本島北部海域の「昔の冬」になっている気がする。
それが気のせいではない証拠に、近年は冬の間もずっと居たままになっていたスカテンの群れが、今季は各根とも激減状態。
近年の冬の暖かさにゴキゲンになっていた彼らも、本格的な寒さに耐えられなかったのかも。
昔はこの時期にスカテンの群れが見られないのは当たり前のことだったけれど、そのかわり今と比べて遥かにハナダイ類が多かった。
ところが何度も触れているように現在はハナダイ類が激減しているから、スカテン類が消えた根の寂しいことといったら…。
ここ10年くらいの水納島の海しかご存知ない若いガイドダイバーさんたちは、スカテンの少なさに面食らっているんじゃなかろうか。
もっとも、島の周りの全ポイントを隈なくリサーチしたわけではないから、いるところにはまだ群れているのかもしれないけど。
そんな寂しい根でも、季節柄チビターレは徐々に増えてきている。
ひとくちにチビターレといっても、そりゃスズメダイやハナダイのチビチビたちは目の中に入れてもせいぜい痛いくらいのサイズながら、種類によってはチビとはいえど10センチちょいほどもあるものもいる。
たとえばこの子。

今年のTシャツのモデルにもなってくれた、ヘラヤガラ。
ムチカラマツの細さをご存知のダイバーなら、このヘラヤガラのチビがいかに小さいかおわかりいただけよう。
ムチカラマツとヘラヤガラチビターレがオーバーラップしているのはたまたまではなくて、このチビがずっとムチカラマツに寄り添っているから。
なので、遠目にはこのように見える。

万物の霊長たるヒトの目からすれば、うっかり八兵衛ダイバーを除いてヘラヤガラの存在に気がつかないはずはない。
ところが他のお魚さんたちには、ヘラヤガラチビターレが渾身のチカラで
「ワタシはムチカラマツ…」
となっているために、うっかり八兵衛ダイバーと同じように見えてしまうらしい。
その自信があるからだろう、ヘラヤガラチビターレはカメラを向けられてもムチカラマツから離れないんだけど、さすがにカメラを向けられると自信が揺らぐのか、その目はかなりオドオドしていることがわかる(後半は顔のアップになります)。
オドオドさせ過ぎても可哀そうだから、ホドホドで終了しておいた。
リーフ際に戻ってきてからリーフの切れ込みに入り込んでみたところ、オヤビッチャが早くも産卵準備態勢に入っており、オタマサによるとすでに産卵していたという。
だんだんリーフ際もにぎやかになってくるかな?
オヤビッチャが繁殖モードになっていたリーフ際の切れ込みのさらに奥には、こんな浅いところで昨夏の白化を生き残ることができたの?と思わず驚いた1本サンゴの姿があった。

なんだか被災地で人々に勇気を与え続ける、震災を生き抜いた丘の一本松みたい…。
しかし、せっかく白化を免れたその一本サンゴの裏側を見てみると…

シロレイシガイダマシーズ。
貝たちに罪が無いことはわかっちゃいても、ワタシのココロは遥かにサンゴたちに近い…。
ポッケに入れてある洗濯ネットにシロレイシガイダマシーズを収納し、一本サンゴの当面の危機を排除したあと、そろそろエキジットしようとボートに向かっていたところ、オタマサがアヤシイ目をしつつ手招きしている。
導かれるまま訪れた海底には…

…遠目にはオオモンカエルアンコウが寝そべっているように見えたこの物体は、(おそらく)ゼニガタフシエラガイという、思わず「~♪男だったぁら、ひとつにかけるぅ…」と歌い始めたくなる名前のウミウシ。
背に銭形模様があるためにこの名があるんだけど、個体によっては今回のゼニガタのようにその模様が無いこともあるそうな。
ゼニガタがないんだったら、ただのフシエラガイじゃん。
ちなみにゼニガタフシエラガイは、基本的にやたらとデカい。

先日の(オタマサの)イッサイフシエラガイとの遭遇で世の中には50センチ級のウミウシがいることを知った今では、これくらいじゃ腰を抜かすことはないにせよ、昼日中の明るいうちからこんなものが堂々と這いまわっているとは…。
こんなものに近づけられてしまって、気の毒といえば気の毒なコンデジちゃん。
そんなコンデジちゃんの気持ちが、少しばかりわかるかもしれない動画を…。
ちなみに↑この時コンデジちゃんは↓こういう事態になっていたりする。

こんなモノに近寄られ、きっと恐怖に慄いていたことだろう…。
ゴメンね、コンデジちゃん。
さらにちなみに、モッサリ移動している際のゼニガタフシエラガイは、筒状になっている触角を小刻みにすぼませたり広げたりしている。
先ほどの動画ではピントが背景に合ってしまっているからわかりづらいけど、ピロピロと触角が動いている様子がおわかりいただけるだろうか。
この動き、わりとよく出会うチギレフシエラガイもやっているのかな?
以前撮った動画でチェック。
やってないみたい…。
想定どおりエキジットしたらちょうど正午で、洋上にいても高らかに本部町のお昼ミュージックが流れていた。
はたして停電は終了しているだろうか。
戻ってみると…
停電終了!
いいお天気だから海から上がってしまえば寒さに震えることもないとはいえ、中高年の冷えた体には、温かいシャワーはこの世の極楽なのだった。
Posted by クロワッサン at 08:56│Comments(0)
│水納島の海