2025年05月22日
カワハギよ、おまえもか!
2025年 5月21日(水) 晴れ
南西の風 波あり 水温24度
気象台がなかなか梅雨入り宣言をしないうちに、とうとう夏至南風が吹くようになってしまった。
昨日今日と、完全に梅雨明け気候なんですけど…。
週間天気予報に一応出ている雨マークには、なんだか縋るような思いが込められているような気もする。
困っているのは沖縄気象台ばかりではない。
毎年梅雨時になると大量に飛翔しまくるシロアリたち、こうも晴れ間が続いていると、その機会を逸してしまっているんじゃなかろうか…。
大量のムシといえば、万博のユスリカ。
熱帯魚を飼っているヒトや釣り人にはお馴染みの赤虫のオトナバージョンだから、埋め立て地には関係なさそうなのに…と思ったら、けっこう水辺があるんですね、夢洲。
というか、埋め立て地ながら奇跡的に再生されていた「大阪の水辺環境」を、カジノ建設目的でことごとく破壊してるんじゃん、万博。
それでも水辺はたくさん残っているそうで、そういう環境を好むユスリカが大量発生するのは当たり前なんだけど、事前予測という言葉を知らずナニゴトも場当たり的に対処する万博関係者のこと、ユスリカがいっぱい!ってことにも慌ててアースノーマットの生みの親に縋るそうな。
たしかEXPO25のテーマは「生命輝く未来社会のデザイン」だったはずだけど、万博が目指す未来ではムシは輝いたらダメなのね…。
もっとも、異形を忌み嫌うニッポン社会のこと、ムシなんていったら異形も異形、誰もが忌避する禁忌のクリーチャーだから、そんなものが大量発生していたら客足が鈍ってしまうという危惧のほうが大きいのだろう。
でも最たる問題は、異形を忌み嫌うその感覚なのでは…。
ユラユラと水中で蠢く幼少時代を終え、ついにオトナになって飛び立ったユスリカたちの集団を愛でてやるくらいの感性を育てる…それこそが「生命輝く未来社会」なんじゃないでしょうか。
と言いつつ我々も、飛翔したシロアリが屋内に入ってきたら退治するけど…。
さてさて、本日もシロアリが戸惑うほどのいいお天気なので、朝から海へGO!
このところ10メートル以浅は24度になっていたから、エントリーしたときにはいつもと変わらぬ感じだった。
ところがもう少し深いところに行ってみたら、冷たい水ゾーンが無くなっていた。
少なくとも水深25メートルくらいまでは、全面的に24度ゾーン!
水温はここからうなぎ登りに上昇していくことだろう。
…でもあんまり上昇しすぎないでね、水温。
冬場の低水温では魚たちの代謝が下がるせいか、寄生虫に取りつかれている魚が多いんだけど、これくらいの水温になれば、さすがに…
…と思いきや、ムシによっては事情が違うのだろうか、カタボシオオモンハゼにはムシがくっついていた。

カタボシオオモンハゼにつく虫といえば、なぜだかほっぺ(?)のあたりにつくから、コブ取り爺さんみたいになる…

…のが定番なのに(片側だけのほうが多いです)、どうしたわけかこの日のカタボシ君は、目と目の間にくっつかれている。

違うムシなのかな?
それはともかく、こんなところにムシをつけていると鼻にしか見えず、カタボシオオモンハゼの顔がまるっきり異なるイメージになってしまった。
それでもカタボシ君は、けっしてアースには頼らないのだった。
この根の沖側にここ数年ずっといるヒレネジは、訪れるダイバーが多いためけっこうフレンドリーなのに、水温が低い間姿を現していたのは、ずっと1匹だった。
ところがこの日とうとう…

…オス(下側)が姿を現した。
なにしろ冬場はブランクが長かったから、ワタシが観ていなかっただけでこれまでも頻繁に姿を見せていたのかもしれないけれど、オスのネジネジ模様の色が薄めなのは、長い間暗がりにいたからなのでは…。
やっぱ巣穴の奥で卵を守ってでもいたのかなあ、オス。
砂底の根でも砂底の岩のそばでもリーフ際の礫底でもリーフエッジ付近でも、このところスズメダイ類のチビターレが激増中だ。
猫目小僧ヒレグロスズメダイ・チビターレの姿も目立ち始めてきた。

そこでふと考えた。
ヒレグロスズメダイと同じようにフツーに出会える同属のスズメダイたちのうち、マルスズメダイやシコクスズメダイ、オナガスズメダイたちの「やる気モード」カラーは認識しているのに、ヒレグロスズメダイってどういう色になるんだか、これまで目にした覚えがない。
…と思い至ったのは先日のことで、この日はその答かもしれないヒレグロに出会った。

オーバーハングの下なので実際の天地は逆なんだけど、見やすいように天地を引っくり返してます。
このオーバーハング下にはヒレグロスズメダイが何匹もいて、そのうちの何匹かがこういう姿になっていた。
最初は何かとの交雑個体?と思ったくらいに違って見えたんだけど、いったいどこがどう違うのか、同じところに居たノーマルヒレグロにもご登場願おう。

ノーマルカラーは、地色が濃いめで眼の虹彩部分が輝いているのに対し、アブノーマルカラーは体が明るめになって、顎のあたりに普段は目立たない紫色の模様が出てくる一方、虹彩は濁り気味。
というか、虹彩が体の地色と同じ色味になっているから、少し離れて見ると、猫目模様の立て筋だけがあるように見えて、とても不思議な顔つきに見えた。
その猫目模様も若干肥大化しているというか濃くなっているというか、黒が際立っている。

様子を観ていると、このアブノーマルカラーが近くのノーマルカラーを誘うようなそぶりを見せつつ壁の穴に入っては出てくるということを繰り返していたから、おそらく求愛行動なのだろう。
ってことは、このアブノーマルカラーは、ヒレグロスズメダイのやる気モードカラー?
ずっとカメラを向けているとノーマルカラーに戻ったところを見ても、これが婚姻色であろうことはほぼ間違いあるまい。

知られざるところでこんな色になりながら頑張ってくれているおかげで、毎年猫目小僧チビターレに会うことができるのだなぁ…。
このテのスズメダイ類は、隙間だらけの岩壁の間隙の奥を産卵床にするから、その卵を目にする機会はほとんどない。
ところが同じスズメダイでも、種類によってはあからさまにここに卵がありますと宣言しているものもいる。
ナミスズメダイもその一人。
大きめのオスが卵を守っていて、たとえ卵に寄りつく不埒者がいても、オスが果敢に撃退するからこそ、「ここに卵があります」状態でも大丈夫…
…のはずが、先日のモンガラカワハギ禍に続き、ナミスズメダイは今日もまた災難に見舞われていた。

カワハギよ、お前もか!(ヘラルドコガネヤッコも食べてました)
リーフエッジ付近などで出会う普段のヌリワケカワハギは、カメラを向けるだけでスススス…と陰に逃げ去ってしまうほど警戒心が高いのに、ここではカメラを向けて近寄るワタシなど眼中にないのはもちろん、卵を守るナミスズメダイに何度も何度も攻撃されても、執拗に踏みとどまって卵を貪り続けていた。
その様子を動画で…。
ここでもメスと思われる他のナミスズメダイたちが集まっているんだけど、前回同様どう見てもヌリワケカワハギと一緒になって卵を食べているようにしか見えない。
外敵に卵を食べられてしまうような非力なオスの遺伝子を残すわけにはいかないから、卵は全部食べちゃえ!っていう掟でもあるのだろうか。
それにしても、ナミスズメダイが卵を守る様子はずっと昔からお馴染みの光景なのに、今年のように他の魚たちに食べられまくっているのを目にしたことはかつてない。
いったいどうしたことだろう?
ひょっとして、オヤビッチャたちの産卵場所が移動してしまっているためとか?
ここと決めた集団保育場で集団になりながらそれぞれがキープしている卵を守っているオヤビッチャたちは、以前はリーフエッジからリーフ際にかけてよく観られていたんだけど、近年は表舞台から去り、リーフの奥まったところに場所を変えているのだ。

毎年オヤビッチャたちが集団保卵場にしていたから「オヤビッチャ岩」と名付けた↑この岩も、近年はオヤビッチャたちがまったく寄り付かなくなってしまっている。
そのため以前まではもっぱらオヤビッチャの卵が被害に遭っていたものが、居なくなってしまったので手っ取り早くナミスズメダイの卵でも…
…ってことになっていたりして。
この先まだまだ続く繁殖シーズン、味をしめる魚たちがどんどん増えていくだろうから、ナミスズメダイの受難は増え続ける一方になることだろう…。
がんばれナミスズメダイ。

このように、海底から離れて中空にビヨンと伸びるムチカラマツ系の死サンゴを産卵床にしたほうが、卵を守りやすいかも?
オスたちが頑張ってくれれば、今年もまたナミスズメダイ・チビターレ↓がそこらじゅうに溢れてくるはず。

これだと誰だかわかんないかもしれないけれど、もう少し成長するとナミスズメダイっぽくなる。

誰がデザインせずとも、「チビターレ輝く海」まであとひと息だ。