2021年04月03日

さかなや水嶋。

2021年 4月2日(金) 雷雨

南のち北西の風 おだやか

 ソメイヨシノを堪能して3日ぶりに帰ってきたら、出発前はただ一輪咲いていただけのアマリリスが、すっかり旬を迎えていた。
 
さかなや水嶋。

 毎年のこととはいえ、当たり前に観られるものは当たり前に観られるうちが文字どおり花。
 
 旧我が家の周りでもどんどん増えていたアマリリスだったから、↓この風景だって往時は毎春お馴染みの光景だった。
 
さかなや水嶋。

 アヒルも含めてこれまた「当たり前」の風景だったものが、今では「古き良き時代」にラインナップしているのだから、今の「当たり前」も当たり前だからといって蔑ろにしてはいけない。
 
 …ともっともらしいことを述べているのはすなわち、毎年同じ時期に同じネタを書いているイイワケであることはいうまでもない。
 
 話は先月末に戻る。
 
 高浜まで日帰りしてきたことはすでに紹介したとおりだけど、今でこそ2時間前後で高槻から行き来できる高浜ながら、我々が家族旅行で毎夏訪れていた古き良き昭和の頃は、京都や兵庫を南北に貫く立派な道など皆無で、山の裾をクネクネとつたう一般道を行くしかなく、日本海は子供心にも地の果て的遠い遠い世界だった。
 
 そんな陸路の果てにようやくたどり着く海辺といえば、舞鶴。
 
 山を越えて舞鶴までたどり着けば、高浜まではあと一山超えるのみ。
 
 車酔いがひどかった子供の頃のワタシにとって、「舞鶴」の地名は勇気を与えてくれたものだった。
 
 名曲「岸壁の母」の舞台でもある舞鶴はそんなわけで何度も通っているのだけれど、あくまでも通過地点だったために舞鶴で何かをしたことはない(はず)。
 
 もう二度と機会はあるまいと思っていた高浜に今回ひょんなことから訪ねることとなったこのチャンス。
 
 高浜は田舎過ぎて何も無さそうだけど、舞鶴だったらきっとあるはず……。
 
 …と、お出かけ前の朝のひとときでザッと調べてみたところ、是非寄ってみたいところを発見。
 
 それが……
 
さかなや水嶋。

 さかなや水嶋。
 
 こういう目的で舞鶴について検索すると、ズラリとヒットするのは「舞鶴とれとれセンター」という道の駅。
 
 一応観光客だから、そういった観光客向けの観光客向け価格オンパレードの店でもいいか…と妥協しかけたところ、さすがワタシというかなんというか、この日は定休日。
 
 でもまぁ臨時休業ではないだけダメージは少ない。
 
 で、他にどこかないかいな…と引き続きリサーチしてみたところ、とある方がこのあたりの鮮魚店としてイチオシされていたのがこの「さかなや水嶋」なのだった。
 
 舞鶴とれとれセンターとは真逆の街の鮮魚店ながら、一人前ごとに現地トレトレの各種刺身がパックで売られているから、たとえばキャンピングカーでの旅行中に車中食、という際には重宝するらしい。
 
 その他、その方が紹介している内容を見てもお店自身のフェイスブックサイトを見ても魅力溢れる店であることがわかるのだけど、なんといっても決定的だったのは、この店を紹介している方の、この地方でのイートインイチオシのお店が、宮津駅前の「富田屋」だったこと。
 
 一昨年宮津を訪ねた際に寄った富田屋はまさに我々のツボ中のツボのお店だったから、そこを激賞されている方がイチオシの鮮魚店となれば、もはやその評価に疑いの余地はない。
 
 とはいえ我々夫婦だけならいざ知らず、酒を飲む者皆無の弟一家を、それも年端もいかぬ小学生もいる家族を巻き添えにするのはいかがなものか……
 
 ……というオトナの配慮もあるにはあったものの、
 
 チャンスは最大限に生かす!
 
 ということで、無理無理西舞鶴駅近くのこの店に寄ってもらった次第。
 
 時間的にもう閉店間際だったから、午前中に比べれば品数はさほどではないのだろうけど、いやはや、それぞれオドロキの現地価格!
 
 今宵大阪帰省の最後の晩を飾るべく、現地トレトレのお刺身を購入。
 
 また、皮を剥がれて並んでいるカワハギが、1匹丸々で390円。
 
 カワハギを肝付きの刺身で頼もうものならどえらいお値段になるというのに、その場で三枚におろしてくれても(電光石火の早ワザ)お値段そのまま!!
 
 チャキチャキした身のこなしが気持ちいい店員さんたちをはじめ、店の雰囲気はあくまでも一徹「鮮魚店」って感じなんだけど、なにげに周辺の看板はお茶目な「さかなや水嶋」。
 
さかなや水嶋。

 イオンのモールがドドンとできる街よりも、こういうお店が何軒も頑張っているような地域。
 
 そういう土地に、ワタシは住みたい。
 
 さてさて、その夜はもちろん……
 
さかなや水嶋。

 日本海の刺身尽くし。
 
 ホタルイカは、あと10分到着が早かったらナマで買えたところ、時刻も時刻だしってことで茹でられていたもの。
 
 いわば茹でたて。
 
 それにしても、肝たっぷりのカワハギ(ウマヅラハギかも)の美味いことといったら!!
 
 ヒラメの縁側も美味かったなぁ……。
 
 いずれに名護以北のお店では絶対に買えないものだから、こういう機会でもなければ味わう機会はまずないといっていい。
 
 そしてそれらの肴を……
 
さかなや水嶋。

 丹波が誇る長老酒造の「丹波一滴」で流し込む。
 
 今オフはコロナ禍のために、世情的にも家計的にも旅行を断念していたから、こういうことは完全に諦めていたのに、最後の最後でまさかの時間が。
 
 ボリューム的にはまさに「一滴」ながら、このオフも味の探訪ができてよかったよかった。
 
 あ、カワハギのアラは自宅まで持ち帰り、帰宅後あら汁にしていただいたところ、これがまたことのほか美味しかった……。
 
 さかなや水嶋で買い求めた舞鶴かまぼこのひら天も、練り物製品が獲れる海ならではのかなりいい仕事をしておりました。


同じカテゴリー(街の美味いもの)の記事
シロクマ。
シロクマ。(2025-04-08 08:19)

ブンとフォー。
ブンとフォー。(2025-04-03 09:09)

石川岳登頂作戦。
石川岳登頂作戦。(2025-03-26 13:51)

今度はジャルクー。
今度はジャルクー。(2025-03-07 09:27)

弥生三月冬アララ。
弥生三月冬アララ。(2025-03-05 09:02)


Posted by クロワッサン at 08:12│Comments(4)街の美味いもの庭の歳時記
この記事へのコメント
細川忠興の田辺城址(全然風情がないのでスルーで正解といったら怒られそうですが)に向かわず、水嶋鮮魚店に向かって大正解!高架橋の横にあるので、ナビがないと見つけにくいですが。。高浜も私も子供の頃、たまに行きました。数少ない昭和の風情を残した海水浴場ですね。
遅くなりましたが、、お母上のご冥福をお祈り申し上げます。
Posted by うーたん中村 at 2021年04月03日 12:53
宮津の富田屋といい、さかなや水嶋といい、高浜といい、
なにげに素敵な福知山周辺の丹波といい、
うーたん中村さんの射程距離圏内がうらやましすぎます…。
なんというか、こういうものを「文化的」というのではなかろうか…
と強く感じる今日この頃です。
Posted by クロワッサン at 2021年04月03日 17:56
若い頃は、都会の利便性に目を奪われがちでしたが、、魚釣りやキャンプとか、子育てで、外遊びが中心になって、自分の子供の頃の記憶を思い出したりしながら、あらためて身近な場所を見直してみると、素敵な所は意外に沢山あるものだと思いました。
Posted by うーたん中村 at 2021年04月03日 21:40
県をあげて「利便性」に目を奪われまくっている沖縄県に、
聞かせてやりたいお言葉です……。
Posted by クロワッサン at 2021年04月04日 04:18
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。