2025年03月14日
自然に寄生する観光地。
2025年 3月13日(木) 雨模様
南の風 波あり
秘密基地で一夜を明かし、この日は午前中の早い時間に帰るつもりでいた。
でも朝から雨模様っぽく、時系列の天気予報や雨雲レーダーを見るかぎりでは、朝のうちは雨で、昼から曇り空になるようだ。
だったら昼イチくらいに帰るとするか…
…というつもりでいたところ、9時過ぎには早くも時系列天気予報は急転、朝のうちは曇りで、昼から雨マークの連打になっていた。
たしかに、9時前後には降り始めると思われた雨も、サーッ…と一瞬降っただけで止んでいる。
となれば善は急げ、島に戻る前にしておく必要があった細々したことをサッと片付け、10時頃には渡久地港を出たのだった。
おかげでそれほど雨に祟られることなく帰還することができ、午後からは予報どおり雨模様に。
そして夕刻前には南風が随分強まって、なにやら春の嵐の気配になっていた。
午後はどの時間帯でもアウトだったようだ。
いいお天気だったら、もう少し秘密基地でゆっくりできたのに…
…というところながら、実はこの日はどのみち昼過ぎまでには島に戻っている必要があった。
水納港大改修工事の説明会が、午後から予定されていたのだ。
過去幾度となく開催されてきたこの説明会、まったくバカげていることに、これまで一度として「説明」どおりにコトが運んだことはなく、おまけに北部土木事務所都市港湾斑の班長が説明会の場で明言した約束まであっけなく反故にされるような「説明会」。
そんなものにどんな意味があるのかまったく不明だし、現行の桟橋は当初の予定とは違って今年度もフツーに使用できるという話を事前にうかがっていたので、ワタシはUSO800の説明会になど参加する必要はなかった。
でも一応聞きに行ってみたところ、今年度のグダグダな業者さんはあっさりお役御免となり、新たに白羽の矢を立てられた…というか入札しているわけだから自ら矢面に立った業者さんの登場となっていた(その間も港では旧業者が工事中…)
工事内容の説明を受けたかぎりでは、令和7年度の工事は前年に比べてかなり能率アップしそうな雰囲気を漂わせていて、なおかつ白濁対策もかなり真剣に配慮されている模様ではあった。
ま、「説明」どおりになったことがないということを差し引くと、それらはすべて机上の空論かもしれないけれど…。
以上はあくまでも令和7年度の工事分についての業者による「説明」だったのだけど、笑ってしまったのは発注者である北部土木事務所都市港湾斑のお話。
工事が遅れに遅れているのは誰の目にも明らかなのは言うまでもないところで、この状態だと当初予定されていた年度ごとの工程どおりにコトが進むはずはなく、令和8年度の工事をもって竣工…だなんてことがとんだ夢物語であることは火がつく前のマッチを見るよりも明らかとなっている今、ようやく全行程の見直しに言及した都市港湾斑。
でもその見直し後の説明がこの日なされたわけではなく、「これから」見直すのだそうな。
その前に立ちはだかるハードルは工事の遅れだけではなく、諸物価高騰、人件費の高騰、人材不足その他モロモロ、まるでそれらが突然降って湧いたかのような言い方をしていたけれど、とにかく当初予定していた予算では…なんて話になっているらしい。
何があろうと湯水のように税金が投入される辺野古の埋め立てや万博とは違い、水納港の大改修工事に追加される予算は「湯水ではありえず、、せいぜい断水中の水道栓をひねった時にこぼれ出る1滴2滴くらいなんじゃなかろうか。
なので7年度の工事については具体化していても、その後の工程については振り出しに戻っている感すらある北部土木事務所都市港湾斑である。
というわけで、令和8年度終了時点で竣工という当初のファンタジーは遠く銀河の彼方へ去りゆき、ひょっとしたら途中でストップしたままになるのではないか…という暗黒星団に覆われつつある水納港の工事なのだった。
一方、この日の沖縄タイムスの一面には、基地マネーで潤い続けるやりたい放題のオヤクニンのやりたい放題計画が持ち上がっていた。
これ。

現在許田からメイクマンの手前のバイパスまで繋がっている名護東道路、それをさらに延伸するという話は前々からあったんだけど、そのルートが決まったらしい。
記事中にあるルートの概要図のアップ。

既存の伊豆味の道を拡幅するのかなと思ったらそうではなく、全線新たに新ルートにするそうな(そのほうが高くつくのだけれど、基地マネーはものともしない)。
美ら海水族館がらみで、もともと名護から本部町までのルートはハイシーズンになると渋滞が頻発しているところでもあるから、このバイパスは100パーセントジャングリアのためってわけじゃないのだろう。
でもジャングリアの存在なくして、このルートはありえない。
ご存知のように、このあたりは亜熱帯の木々が生い茂る、いかにも「やんばる」な原生林地帯。
それを切り拓いて巨大なバイパスを造ることによって、渋滞解消の恩恵を受けることになるジャングリアが掲げるテーマといえば、
「自然と共生する観光地」。
共生は共生でも片利共生、むしろ「自然に寄生する観光地」なんじゃ…。
もともとゴルフ場だった土地をベースにしてテーマパークにしていることもあって、野山を切り拓いて公園にしているわけじゃないというおためごかし的大きなエクスキューズがあるジャングリア。
でもそのアクセスのために亜熱帯の自然が切り拓かれたんじゃ、意味ないじゃん。
「Power Vacance!!」とコンセプトでは謡っているけれど、実は自然に対する「Power Harassment!!」なんじゃね?
といいつつ、他人から与えられたテーマがないとパークで楽しめないヒトばかりになってしまったニッポンでは、仕方がないことなのかもしれない。
ちなみにジャングリアが鳴り物入りでオープンするのは、今年7月の予定。
一方新聞記事によると、このやりたい放題バイパスの事業着手は数年後から、そして共用が開始されるのは10年から20年後という、かなり大雑把な予定とされている。
その頃のニッポンがどうなっているのかということを真剣に考えたら、いや、まずはジャングリアがその頃どうなっているのかってことを考えたら、大金をかけてこんな立派な道路を造っている場合じゃないだろうに…
…ってところだけど、そもそも県民のために使われているフリをしつつ、その実それに群がる人々にしか恩恵が無いのが基地マネー。
建前はともかく、オヤクニンであれ土建業者であれ、群がる人々が20年後のニッポンのことなど考えているわけはない。
そして50年後の沖縄本島には、立派な道路とホテルだけが残るのだった。
水納島も立派な港だけになってるかも…?
Posted by クロワッサン at 08:31│Comments(2)
│吉田兼好
この記事へのコメント
たぶんですが、この高規格道路が出来たら、山の上のピザ屋さんからの風景が台無しになりそうですね。
Posted by ガキヤヒロシ at 2025年03月14日 14:44
この四半世紀で「台無し」になってしまったあちこちの風景、そのビフォーアフター的写真集なんてものが世に出たら、たちまち自らの行いに恐怖しそうですね、沖縄県民としては(悲)。
Posted by クロワッサン at 2025年03月14日 15:28