2023年10月28日
胃袋に会いに。
2023年 10月27日(金) 晴れ
北東の風 波あり 水温26度
※引き続きお知らせ。
原因不明で不通状態になっていた我が家の電話は、修理など誰も何もしていないのに、なぜだか現在は復活しています。
繋がっている場合は、留守にしていたら留守録メッセージになりますが、故障中は呼び出し音が鳴り続けても留守録メッセージにはなりません。
なので、電話に誰も出ない場合、留守録メッセージにならなかったら再び故障中であるとご理解ください。
※お知らせ終わり。
早朝こそ放射冷却でけっこう冷え込むものの、このところ好天続きで日中はけっこう暑い。
気温が高いと活発になるカメさんたちだから(高過ぎたら不活発になるけど)、ようやく遠出願望の季節が終わったかに見えたガメ公だったのに、再び火がついてしまった。
前日など2時間近くも付き合わされ、カモメ岩の浜の坂の上までたどり着いた時にはもうすっかり夕刻モードになってしまった。
そんな時間帯だったからだろう、日中は忙しなく翅をばたつかせ、まったくといっていいほど隙を見せてくれないアオスジアゲハが、寝支度のためなのかギンネムの葉にピト…と止まってジッとしていた。
日中ならありえないほどカメラを近づけてもまったく逃げないアオスジアゲハ、普段は動き回っているため全然気がついていなかったけど、翅の裏側は青いスジだけじゃなく赤い模様も入っているんですね…。
水納島には食草がないせいか、アオスジアゲハは本島からたまに渡って来るものを目にする程度だから、遭遇チャンスもそれほど多いわけではないというのに、人生最接近記録樹立(レンズのすぐ前にいます)。
それもこれも、遠出モードに再び火がついたガメ公のおかげか?
チョウといえば、これまで島内では目にしたことがなかったナガサキアゲハのメスが、このところやけに目立つようになっている。
こうして画像だけ見るとベニモンアゲハとかシロオビアゲハのベニモン擬態メスと大して変わらないように見えるかもしれないけれど、ナガサキアゲハはサイズがでっかいうえに、翅をパタパタさせていると翅全体がかなり白っぽく見える。
ちなみにナガサキアゲハのオスは、濃紺~黒のシブイ色味をしている(↓これは3年前に秘密基地で撮ったもの)。
光の加減で鱗粉がメタリックに輝くこともあり、なにやら気品高く見えて美しい。
これをナガサキアゲハの色と思っていたものだから、秘密基地で初めて白いメスを目にした当時は正体がわからなかった(本土で観られるメスは、下の翅だけ白いそうです)。
種類はわからずとも「水納島では観たことがないアゲハ」という存在だったのに、このところ島内で遭遇頻度が随分増しているおかげでその姿を撮る機会を得、ナガサキアゲハのメスであることを知るに及んだのだった。
これもやはり、この秋の異例のチョウチョウ大発生の賜物なのだろうか?
さてさて、この日も朝から海へ。
ここのところ連日この時間帯には強めの流れがあるけれど、そのおかげか水はクリアなので、海中はすこぶる気持ちがいい。
そんな気持ちのいい海中で、どういうわけだかアオヒトデを探しているワタシ。
特に珍しいわけでもなんでもないアオヒトデながら、お馴染みのヒトデヤドリエビもアオヒトデにいるものはマンジュウヒトデなど他のヒトデでは観られない色味をしているし…
ときにはヒトデナカセという素敵な名前の、美しい寄生貝がついていたりもする。
けれどこの日のアオヒトデサーチは、これらのクリーチャーが目的なのではない。
目的は胃袋にあり。
オニヒトデやマンジュウヒトデの胃袋はちょくちょく目にする機会があるのに対し、これまでアオヒトデの胃袋に注目したことが無かった。
それがこのところアオヒトデに住まうエビや寄生貝をサーチする機会が増えていたこともあって、ちょこちょこ目にする機会が多くなってきたのだ。
覚えているうちにその胃袋をちゃんと撮っておこうと思い立ち、今秋は潜るたびにアオヒトデを探しているワタシ。
ところがどういうわけか、探していなければそこかしこにいるアオヒトデのくせに、探すとたちまち出会えないじゃないか。
しかもたまに出会っても食事中ではなく、胃袋を拝む機会が巡ってこない。
それがこの日はどういうわけかアオヒトデラッシュで(フツーはそうなんだけど…)、ようやく念願かなって胃袋も撮れた。
念願していたわりにはショボい写真ですみません…。
こうして画像だけ見ると、新たな寄生性のクリーチャーのようにも見えるこの胃袋、ちなみにノーマルモードのときは他のヒトデ同様↓こういう感じになっている。
お目当ての御馳走を見つけるとその上に腰を据え(?)、この中央部(口)から胃袋を出して、体の外で消化して吸収するという食事方法だ。
足の1本や2本食べられてもまったく平気なアオヒトデであっても、胃袋は生きていくうえで欠かせない大事な器官だから、ヤバい!と思ったらすぐさま胃袋を収納する。
この早さだもの、ゆっくり写真など撮っていられない。
ところがどういうわけか、なかには収納するまでに相当時間を掛けるものもいた。
最終的にはちゃんと収納されたものの、引っくり返されてから少なくとも50秒は胃袋出しっぱなし状態だったこのアオヒトデ、危機を感知していなかったのか、それともそれまで食べていた御馳走によほど未練があったのか…。
ところで、このように胃袋を出して食事しているアオヒトデは、↓こういう感じで岩肌にはりついている。
口から胃袋を出している中央部分を、グッと岩肌に押し付けている感があるのだ。
ただ、↑このアオヒトデは実際に胃袋を出して食事をしていたんだけど、そう見当をつけてチェックしてみても、胃袋を出しているのはだいたい3割くらいの確率でしかなかった。
で、実のところアオヒトデって、何を食べてるの?という疑問が湧いたので、胃袋を出して食事中のところをお邪魔して、アオヒトデが胃袋をあてていた箇所に注目してみたところ…
…これがさっぱりわからないときたもんだ。
オニヒトデやマンジュウヒトデは、ひと目でサンゴを食っているのがわかる。
でもアオヒトデって、何を食べて生きているのだろう?
気になったので調べてみたところ、アオヒトデはおおまかにいうと雑食性なのだそうな。
もっぱら口にしているのは海底に堆積している有機物、いわゆるデトリタスなのだそうな。
その他、藻類、微生物といった、一見しただけでは「何」とわからないものをチマチマ食べているらしい。
そんなものを食べるためにわざわざ胃袋を外に出さなきゃならないなんて、けっこう大変そう…。
大変な思いをして食事をしているというのに、お邪魔し倒してしまってすみません、アオヒトデさんたち。
蛇足ながら、口はお腹側にあるヒトデたちながら、肛門は背中側にあるという。
でもヒトデ類が背中から排泄しているシーンなんて観たことないと思ったら、ヒトデ類には肛門が無い種類もいるそうで、肛門があるものもないものも、みんな排泄は口から行っているのだそうな。
そしてこの肛門、アオヒトデの説明では
「有性生殖を行う場合には、5本の足で体を持ち上げ背口盤にある肛門から放卵・放精を行います」
と記されていたりもする。
たしかに放精時には体を持ち上げているアオヒトデの姿は、過去に何度も目にしたことがある。
でも以前撮った放精シーンの画像を見てみると…
…あちこちから精子が放たれているように見えるんですけど?
そう見えるだけで、実は一ヵ所から放たれているんですかね…。
探すといないアオヒトデ、調べるとわからないことがたくさん出てくるアオヒトデでもあるのだった。