2023年12月22日

天国と地獄。

2023年 12月21日(木) 雨のち曇り時々日差しのち雨

北の風 時化模様

 けっしてテツではないのだけれど、NHKBSが放送している六角精児の呑み鉄紀行番組や、鉄道写真家中井精也の乗り鉄ロケ地巡りは楽しく拝見している。
 
 どちらも地方を訪ねることが多く、北の果てから西の端まで、日本全国津々浦々のローカル線が紹介されるので、我々が過去に旅行で利用した路線がなかなかツボを心得ていたことを知ったりもする。
 
 ただまったく残念なことに、行くところ行くところすでに廃線になっている路線がとてつもなく多く、もちろんながらそれらの地域は、かつてはもう少し賑わっていたのにねぇ…という話になる。
 
 たとえ単線かつ1両編成の鉄道であろうとも、地域にとっては大動脈といっていいライフラインだもの、それがストップされてしまえば暮らしの命脈も尽きるというもの。
 
 もともと国鉄が国内の隅々まで張り巡らしていた鉄道は、誰が考えてもわかるように、田舎になればなるほど採算など合うはずがない。
 
 もちろん国鉄時代にも廃線の憂き目に遭った路線は多いのだろうけど、JRとして分割民営化されて以降の廃線の数は、地方に暮らす方々を絶望の淵に追いやるほどになっている(ように見える)。
 
 ちなみに国鉄を民営化するに際しては、地方路線の維持存続という条件もあったと聞く。
 
 その条件を呑んだうえで経営を買って出たJR各社がやっている廃線激増経営方針は、増税はしないと言いながら平気で大増税をすることになるフミオと同じくらい、まったくもって約束違反なのである。 
 
 地方路線の赤字が経営を圧迫するものだから、日産の経営状態を立て直した犯罪者カルロス・ゴーンの轍を踏むかのように、赤字原因を次々に切り捨てていくJR各社。
 
 それで都市圏はさぞかし安泰なことでしょう、JR。
 
 民営化など、一部の都市圏だけにして、地方路線は国鉄のままでよかったものを…。
 
 えーと、国鉄の民営化って、誰がやったんだったっけ?
 
 あ、ナカソネだ。
 
 この方は原発も強力に推し進めたし、日航を民営化させたし、国鉄も電電公社も専売公社もみ~んな民営化して、当時はまったく意味不明だったJR、NTT、JTといったアルファベットネームがズラリと勢揃いしたのだった。
 
 本人が「戦後の総決算」というとおり、それらの民営化にはそりゃ意義も意味もたくさんあったのだろうけれど、時の首相にしろ政策を推し進めた方々にしろ、いいところしか見ていなかったのは間違いない。
 
 悪いところもちゃんと見てたら、日航は倒産してませんよね?
 
 いいところしか見ていなかったといえば、郵政民営化もしかり。
 
 民営化民営化と騒いでいるうちに、いつの間にか脱法保険業務をしていたし、赤字が続くからと郵便料金はうなぎ上りだ。
 
 来年からハガキが85円、封書に至っては110円に値上がりするという。
 
 どんなに地の果てに居ようともLINEひとつでいつでも連絡が取れる今の世の中で、ハガキや封書を普段使いしているヒトなどけっして多いはずはなく、昔同様に利用している世代がどんどんお星様になっていくとあっては、郵便事業の採算がおぼつかなくなるのは当然のこと。
 
 そのため赤字赤字で火の車の郵便事業、窮余の策として値上げをすることに…というのはわかるけれど、これだけ値上げしても、試算によると1年後にはたちまち赤字に転落するという。
 
 もはや値上げだけでは赤字の解消など不可能な状況になっているのであれば、もういっそのこと郵便事業をやめちゃうか…
 
 …というわけにはいかない国際上の取り決めがあったりする。
 
 それは、万国郵便連合。
 
 今では国連に属しているけれど、その歴史は国際連合どころか国際連盟が誕生する以前から始まっている歴史ある国際機関で、加盟国は現在192ヵ国に及んでいるという。
 
 その目指すところを、外務省のいかにも役所らしい読みづらく長ったらしい文章を引用して紹介すると、
 
 「郵便業務の効果的運営によって諸国間の通信連絡を増進し、文化、社会及び経済の分野における国際協力に寄与するため、加盟国間における郵便物を安全かつ迅速に交換し配達すること、保証すること、郵便業務の組織化及び完成を確保し、郵便分野における国際協力の増進を助長すること、加盟国が要請する郵便に関する技術援助にできる限り参加すること」
 
 なのだそうだ。
 
 海外のどこに居ても気安く気軽にエアメールを送ることができるのは、こういう取り決めが世界にあるからにほかならない。
 
 もちろん我がニッポンも加盟しており、万国郵便連合が唱えるところの郵便業務を遵守しなければならない。
 
 水納島の郵便事情はすでにしてこの取り決めから外れたところにあったりするけど、ハガキが85円、封書が110円でも赤字となれば、このままいくと近い将来郵便配達は週に3日だけになるかもしれない日本全国津々浦々の実情で、万国郵便連合から脱退しなければならなくなる日が来るかもしれない。
 
 ちなみに世界でも郵便事業を民営化するのが主流とはいえ、アメリカは郵便事業に関しては米国郵便庁による公営となっている。
 
 日本の郵政民営化って、結局のところ郵貯と簡保の金目当てのアメリカのためにやりましたってな感があるのに、当のアメリカでは郵便事業は公営のままだなんて、なんという皮肉。
 
 いったい誰がやったんだ、日本の郵政民営化?
 
 あ、滝クリのお義父さんと国賊ヘイゾーじゃないか。
 
 彼らもやっぱり「いいところ」しか見てなかったんだろうけれど、彼らが見ていた「いいところ」って、いったいなんなんだ?
 
 民営化したおかげでそれまでに比べれば遥かにサービス業っぽくなった、郵便局の窓口の対応とか?
 
 ま、国賊ヘイゾーの場合は、自分のフトコロに入るマネーしか見てなかったのだろう。
 
 ともかく「郵便事業」だけで利益を得ようなんてどだい無理な話なんだし、同じ万国でも万国博覧会に惜しげもなく拠出する予算があるなら、万国郵便連合の基準を遵守できるよう郵便事業だけは再び公営化するとか、地方の郵便事業を恒常的に支援するなどの予算に回してくれればいいのに…。 
 
 さて。
 
 トゥンジービーサーとはよく言ったもので、冬至を翌日に控えたこの日は、時を追うごとに寒さが募る師走っぽい1日になった。
 
 もっとも、1年のうちで日照時間が最短になるのが冬至だから、気温が下がるのは当たり前。
 
 そこにもってきて季節風が北の国から冷たい空気を運んでくるのだから、時々チラ…チラ…と顔を出すお日様のチカラではいかんともしがたい。
 
 これまでにもちょくちょく紹介している話ながら、冬至前後の朝は7時になってもまだ日の出を迎えていないから暗く、画像にしてみるとこんな感じになる。
 
天国と地獄。

 7時でもこんなに暗い。
 
 そうはいってもご使用のモニターの輝度次第でいくらでも変わってしまう明度のこと、場合によってはフツーに明るい画像として写っているかもしれないからあえて説明しておくと、白み始めているから東の空は雲が明るくなってはいるけれど、それでも5メートル離れたらヒトの顔を判別できないほど。
 
 朝がこんなに遅ければ、そりゃ寒くもなる(そして水温も下がる)。
 
 これまた例によって毎冬のごとく、冷え込み具合いをリュウキュウアサギマダラに表現していただくと、↓こういうことになる。
 
天国と地獄。

 この日の散歩の道すがら、葉が落ちたクワの葉に、寒さで機能停止寸前のリュウキュウアサギマダラたちが鈴生りになっていた。
 
 機能停止寸前だから、↓ここまで近寄っても逃げない。
 
天国と地獄。

 例年のキビシイ冷え込みのように国頭村奥で気温ヒトケタになるほどだったら、そのまま手でつまめるほどに機能停止しているリュウキュウアサギマダラたち。
 
 でもさすが暖冬と言われるだけあって、冷え込んでもまだかろうじて明日への希望を抱いていられるくらいなので、チョウたちにも余裕があるようだ。
 
 なので、いざとなったらいつでも飛び立つぞ、とばかりに翅をヒラヒラさせ始めるものが多かった。
 
 実際に飛び立つと↓こうなる。
 
 
 
 風に震える灯台への道がたちまちメルヘンロードに変身、まさにバタフライパラダイス。
 
 ただしこのパラダイス、蝶々を「美しい」と思う方にとっては天国ではあるけれど、鱗粉が苦手で「チョウなんて大嫌い」という方にとっては地獄と化すことになる。
 
 同じシーンが天国にも地獄にもなる。
 
 JRの分割民営化も、郵政民営化も、希望的観測に基づいてそれを推し進めた人々が見ていた天国は、地方の暮らしには地獄でしかなかった…ってことになっちゃいそうだ…。 


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Posted by クロワッサン at 08:20│Comments(0)吉田兼好昆虫記
 
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