2024年09月14日
リーフ際は今際の際。
2024年 9月13日(金) 晴れ時々雨のち曇り時々雨
北東の風 けっこう波あり
結局この日の連絡船は、朝イチの1往復のみということに。
たしかに朝方は気象予報が告げている以上の風が吹いていて、このまま終日運航するのはつらそうな塩梅ではあった。
というわけで、上架してあるボートの台風対策の続きと、秘密基地の台風対策のため、ワタシはまた単身赴任で本島へ。
なんといっても今シーズン初の「暴風域」、これまでのショボショボ台風で高をくくっていたら痛い目に遭うこと必至だから、しっかり対策をしておかなくては…
…と、備えあれば憂いなしになるよう、せっせとロープを張り巡らしたのだけど。
なんか、台風全然威力無いんじゃね?
一昨日までの台風進路予想では、けっこう発達しながら本島直上を通過となっていて、週間天気予報でも14日、15日の両日は「暴風雨」と表示されていた。
ところが前日の段階で進路はやや北寄りに移動し、直上ということにはならなそう…という塩梅に。
それでも台風のこと、進路が予報図上で1ミリずれるだけでずいぶん状況は変わるから、警戒しておくに如くはない。
ところがこの日になって、少し前まで暴風雨予想が出ていた翌日もまた、この日と変わらぬ程度の風しか吹かない予報になっているではないか。
どう考えても強風域圏内には入るだろうに、どういうこと?
風向や風力を時系列で詳細に図示してくれるサイトでは、どういうわけだか台風の円のうち沖縄本島側だけが全然吹かない見込みになっていた。
たしかに台風の進行方向の左側は風が弱くなるものとはいえ、ここまで弱いものなの?
どうやらそれは、沖縄本島接近時の当初の見込みよりも、台風が発達していないことによるらしい。
なんでこんなに水温は高いのに、台風は発達しないんだろう?
確たる話ではないようながら、それはどうやら沖縄付近の上層にたいそう冷たい寒気をひっさげた低気圧が留まっていたためだという。
気象用語的には「上層寒冷低気圧」と呼ばれているものだそうで、これが台風が渦を巻いていくのを妨げる向きで風を吹かせていたために、台風は思うとおりに発達できなかったのだそうな。
目に見えないところで台風の魔の手をしっかり抑えてくれていただなんて、なんだか神様みたい…。
それはともかく、そういう話を聞くとなるほどなぁと納得はできる。
けれど各気象予報サイトにはまったく納得できないぞ。
だってその上層寒冷低気圧って、突如出現したわけじゃないんでしょ?
であれば、なんで事前に上層寒冷低気圧が影響する予報を出せるヒトがいないんだろう。
誰も彼もが後付けであーだこーだもっともらしく解説しても、それは単に予報士として一知半解であることを棚に上げた言い訳にしか見えない。
ま、そんなことをナニゴトであれ一知半解の権化であるワタシには言われなくはないだろうけど、ともかく進路変更と神の見えざる上層寒冷低気圧のおかげで、本来暴風雨となるはずだった翌日は安穏と過ごしていられそう。
ただし見えざる上層寒冷低気圧は、まるで役目を果たし終えたかのごとくこのあと消え去り、台風はようやく発達モードに入るらしい。
となると、ピークに達する頃には本島付近を通過しているとしても、返し風はけっこう強まりそうってことのはず。
14日が平穏だからといって、翌日も同じとは限らない。
皆様、ご用心ご用心。
…で、15日も平穏だったら、また立派な後付け解説を拝見することができるだろう。
話はまったく変わる。
すでにお魚コーナーではアップしているからご存知の方が3人くらいはいらっしゃるかもしれないけれど(これは謙遜ではなく実情)、先月お盆時期に、記憶的には人生初遭遇となる魚に出会っていた。
その魚、その名をモンダルマガレイという。
水納島の砂底でしばしば出会うカレイといえば、トゲダルマガレイがおなじみだ。
でもその昔の世の中に出回っていた一般向けのポータブルな図鑑では、よく似てはいるもののちょっとばかり様子が異なるモンダルマガレイは載っていても、トゲダルマガレイまで載っていることはまずなかった。
そのためモンダルマガレイという名前を先に覚えてしまい、トゲダルマガレイのことをモンダルマガレイだと誤解していた時期もあったりする。
その後ようやくトゲダルマガレイという種類の存在を知り、以後ずっとトゲダルマガレイとは長い付き合いになっているんだけど、先に名前を覚えたモンダルマガレイは、少なくとも水納島でのボートダイビングではほぼほぼお目にかかる機会がない。
トゲダルマガレイの倍ほどのサイズになる大きなカレイであるにもかかわらず、彼らモンダルマガレイは浅い環境が好きで、もっぱらリーフ内の岩々したところで暮らしているようなのだ。
なのでビーチの帝王・巨匠コスゲさんならこれまでちょくちょく遭遇されているかもしれないものの、ワタシ自身は過去にかろうじて目にしたことがあるかないかくらいで、画像記録を残したことはこれまで一度も無いことからして、おそらく遭遇したことはないはず。
そんなモンダルマガレイとようやく初遭遇!
それもリーフの外で。
トゲダルマガレイを見慣れた目にはとにかく巨大で、また両目の離れっぷりが半端ではない不思議な顔は、なんとも印象深い存在感。
しかし。
8月のその時は、画像記録を残す手段が手元に無かったのだった。
ああ、一期一会のかくも儚き……。
ところが!
今月になって、同じポイントで再びモンダルマガレイと遭遇する機会を得た!
手元にはコンデジもある!
パシャ。
おそらく前月出会ったものと同じ子と思われるモンダルマガレイはかなり活発で、コンデジを向けるとすぐさまフワリと体を浮かせ、空飛ぶ絨毯のようにス~イスイッと泳ぐ。
ワタシがカメラを向けながらついていっているということもあるんだろうけど、その泳ぎっぷりは予想外に長駆で、なるほど、この移動能力があれば、砂底ではなく岩々している海底でも不自由なく過ごせそうだ。
そんなモンダルマガレイの泳ぎっぷりを動画で。
また、泳いでいる時には、他の普通の姿勢の魚でいえば背ビレに当たる役割を果たしている胸ビレを立たせるため、なにげにカッコ良くすら見えるモンダルマガレイ。
でも礫底でジッとしているときには、トゲダルマガレイと同じように海底に溶け込むような色味になる。
↑この画像のどこにモンダルマガレイがいるか、わかりますか?
礫底でジッとしている時は砂礫紋様になっていても、警戒心が上回ると体色を濃くする。
そして濃淡いずれの場合でも、リング状に点在する青い模様が出ている。
もっとも、海底が暗い岩肌や砂礫だったりすると色濃く出ている青いリング模様も、水納島のように海底が明るい色味だと、魚体全体が薄い色合いになるため、肉眼では↑この写真のようには見えないかもしれない(上の画像は青みを強調してあります)。
薄くなっているその模様はトゲダルマガレイでも見られるものだから、モンダルマガレイの小さめの個体に出会ったら、はたしてトゲダルマガレイと区別がつくだろうか…
…という心配は必要なさそう。
というのもモンダルマガレイには、両目の前の体の輪郭(矢印の先)がややくぼんでいるという特徴があるのだ。
かてて加えて半端ない両目の離れ方、これほどの特徴があれば、トゲダルマガレイと見分けがつかないはずがない。
もっとちゃんとしたカメラでその目の離れっぷりも撮りたかったところながら、この時は証拠写真のみで終わってしまった。
どうやらこのあたりを暮らしの場にしているようだから、次回はもっとじっくりお付き合いしてみよう…
…という願いもむなしく、なんてことだ、9月前半というのに、8日に潜ったのを最後に海からすっかり遠ざかっているではないか(洋上の眺めからは遠ざかってはいないんだけど…)。
モンダルマガレイはともかく、一週間前から瀬戸際だったリーフ際のサンゴたち、今頃今際の際になっているのかなぁ…。