2024年11月09日

神の路と黒い森の猿。

2024年 11月8日(金) 雨がちの天気

南の風 うねりあり

 風が南よりに回って、なおかつ天気が悪くて放射冷却もないおかげで、再び朝が過ごしやすくなっていた。
 
 冬将軍の先遣隊は、偵察を済ませて一時撤退してくれたらしい。
 
 風の強さも前日よりさらにおさまり、洋上はうねりが残る程度だ。
 
 となればさすがに、連絡船復活!
 
 その日の朝、まだ連絡船の1便が到着する前の早い時間帯に、珍しくトシおばさんがトコトコ我が家まで歩いてきた。
 
 お散歩かな?と思ったら、
 
 「あんたがたも島にいたんだね!」
 
 は?
 
 「オサムとタツヤと私の3名しか居ないかと思った!」
 
 この長期欠航期間中、トシおばさんのご近所になるワクガワ家は家族みな島外に出ていて、民宿大城のお二人もいらっしゃらないし、リョウセイさんはいつものごとくいないし…
 
 で、この日ふと我に返ったトシおばさんは、指折り数えてみたら島にたった3名しかいない!となって愕然となり、慌ててヒトの気配を求めて島内を歩いていたという。
 
 実際は我々がいるし、マサシさんもいるし、ナカチさんもいらっしゃるし、工事の方々は現場事務所になっている元教員住宅にいるんだけど、長期欠航期間中(おばさんは今週いっぱい欠航と聞かされていたらしい)に身の回りでヒトの気配が途絶えてしまったら、90オーバーの高齢者としては心細くなって当然だ。
 
 でも今日以降しばらくは連絡船が動くみたいだから、誰かしら帰ってくるはずよ、とお伝えすると、さっそく明日お出掛けして娘さんとの買い物を楽しみにするトシおばさんなのだった。
 
 さて、久しぶりに連絡船が動くと、届いた瞬間古新聞がドドッともたらされる。
 
 「トランプ圧勝!」
 
 というド派手な見出しも、すっかり古新聞のくすんだ色味にすら見える。
 
 にしても、「世紀の大接戦」とかなんとか言っていたくせに、手のひら返しで「圧勝!」って報道するマスコミのいい加減さも、たいがい天気予報なみであることがよくわかる。
 
 そんな古新聞や各種郵便物に混じって、長らく本部局で足止めをくっていた当家宛ての贈り物も、ようやく海を渡ることができたのだった。
 
 ようやく届いた荷物とは、船長が容易に「きっとお酒ですよ」と推測してみせるとおりの品々だった。
 
 実は先月下旬に、いわば「最後だョ全員集合!」てな感じでダイビングクラブの同級生たちが4名ほど島に遊びに来る予定になっていた(ホントに全員だとボートの定員を超えちゃうけど…)。
 
 ところが誰の行いなんだか、来る来る詐欺の台風のせいで、みなさんの全旅程アウト。
 
 その行いの悪い人たちの中には鳥羽のタコ主任(現在はもう少しえらくなってます)もいて、ホントは島で会ったときにお土産に…と用意してくれていたものを、わざわざ送ってくれたのだった。
 
 というわけで、本来なら一緒に飲もうということになっていたであろう、伊賀の純米吟醸と、まったく未知の琥珀色のお酒が目の前に。
 
 日本酒はオタマサ用にということだろうから、とりあえずさっそく琥珀色のシアワセに浸ることにした。
 
神の路と黒い森の猿。

 伊勢の蒸留所プレゼンツだけあって、「神路(かみじ)」という畏れ多くも神々しい銘柄のこのウイスキーは、伊勢蒸留所で蒸留&熟成されたモルトウイスキーと、スコットランドで長期熟成されたモルトウイスキーをブレンドしたものなのだそうな。
 
 日本産とスコットランド産のハーフだなんていったら、それこそまっさん夫婦のコドモのようなものだ。
 
 ブレンデッドウイスキーならではの、まろやかな舌触りが心地いい…。
 
 本日最終便で届いたもう1本も、この勢いで楽しみたいところ。
 
 とある奇特な方が贈ってくださったこの逸品、事前にメールにて贈り主から、
 
 サルナンカチユウ。
 トウチヤクヲマテ。
 オリフヨウ。
 
 という、昔懐かしい電報文のようなメッセージが届いていた。
 
 オリフヨウとかトウチヤクヲマテは理解できたけど、サルナンカチユウとはいったいなんだ?
 
 「さるモノ」もしくは「さるブツ」が南下中と書きたかったところ、モノもしくはブツが抜けちゃったのだろうか、ご高齢だし…あ。
 
 なので何が南下しているのかさっぱりわからなかったんだけど、その謎がついに明らかに。
 
 南下していたのはこれだった。
 
神の路と黒い森の猿。

 MONKEY 47。
 
 イギリス人が個人的に作ったジンを、黒い森のドイツのみなさんがブランドにしたドライ・ジン。
 
 なるほど、それで「サル」だったわけね…。
 
 なんでアカゲザルがキャラクターなのか、なんで名前がモンキーなのか、という話同様、「47」とはいったい何の数字なのか、ということも調べればすぐにわかった。
 
 このジンを作ったヒトは、忠臣蔵の大ファンだったのである…
 
 …というのはもちろんウソで、養命酒でいうところの生薬のようなエキス(ボタニカル)が、なんとゼータクにも47種類も使用されているから。
 
 その原料もすべてドイツの黒い森(シュヴァルツヴァルト)産だそうで、心身ともに純ドイツなイギリス生まれのお酒なのである。
 
 十六種類の十六茶でいえば四十七茶になってしまうくらいだから、それが相当な数であることはわかる。
 
 ちなみに名護以北でも購入可能な有名なジン「ボンベイサファイア」では、世界各地から選りすぐりを謳っているとはいえボタニカルの数は10種類。
 
 その5倍近い生薬(?)を使用しているとなれば、これは襟を正してちゃんと飲まねば、「香水にもしてほしい」と言われるほどのえもいわれぬ香りを堪能できずじまいになるかもしれない。
 
 猫に小判、豚に真珠、ワタシに猿なんてことにならないよう、今宵神の路を歩んでいる舌にはいったんお預けをし、後日襟も膝も正して四十七士の猿と真摯に向き合うことにしよう。
 
 明日お出掛けして、炭酸ソーダその他ジンに合うものを買ってこようっと。
 
 ガラスボールにそれらを入れてパンチにすれば、これがホントのモンキー・パンチ?
 
 しないけど。
 
 というわけでまだ四十七猿は口にはしておりませんが、贈り主のお二人にはあらためまして衷心より感謝申し上げます。


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Posted by クロワッサン at 08:03│Comments(0)世間の美味いもの
 
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