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2024年03月28日
ウゾ800。
2024年 3月27日(水) 晴れ
北の風 波あり
本日は検査に出してあったタンクの受け取り第2弾のため、再び北谷まで南下。
今回は耐圧検査ではなく、アルミタンクに年イチで義務付けられている目視検査である、ということは先日紹介したとおり……紹介しましたよね?
で、フツーにちゃんとまっとうに使用していれば、これで引っ掛かることはまずないところなんだけど、今回は1本だけ不合格が出てしまった。
タンク内部に水が入っていたために、内部が一部腐食して、ボコ…ボコ…と小さなクレーター状になっていたためである。
タンク内部に残圧10でも5でも残っていれば、水が入ってしまうことはまずない。
ところがほぼほぼゼロになってしまうと、場合によっては内部のほうが陰圧になってしまうから、何かの拍子に水が入ってしまうのだ。
フツーに使用していれば、タンク内の圧力がゼロになることはない。
ところがごくごく一部の方が、何も考えずにゼロまで吸い尽くしてしまうため、こういう事が起こってしまう。
通常営業していないのになぜそんなことに?
それはヒミツです。
ともかく当方にとってはテロリストといっていい方々のせいで、10リットルタンク1本という貴重な資産がフイになってしまったのだ。
決定。
今後残圧10以下でエキジットした方からは、追徴課税として5000円いただきます。
通常営業していないのに誰から?
それはヒミツです。
さてさて、本日は早めに島を出たので、北谷に到着したのも早く、名護店に比べれば遥かに品揃えが豊富な(でもシンメーナービーなど田舎独特の品は少ないけど)メイクマン美浜店に寄ってからでも昼前に到着することができた。
そしてタンクを積み込み、一路北上。
時間もあることだし、今日はどこぞのお店でランチでも♪
さて、どこで?
観光客でごった返している美浜あたりは勘弁願いたいし、どうせだったら北上がてら寄れるところで…
そうだ、シマウマカレー食堂がいいんじゃね?
ゼロコンマ3秒で急速にカレーモードになりかけたものの、定休日や臨時休業、店内改装期間に当たる率が高い我々のこと、ウカツに読谷の奥に入り込んで路頭に迷ってしまったら大変なことになる(客観的にはたいして大変じゃないけど)。
そこで取り出しましたるスマホ。
テザリング機能を除き、こういう時に役に立たずに、いつ役に立つというのだ。
で、シマウマカレーを調べてみたところ…
「閉店しました」
あ…。(ちびまる子ちゃんでいうなら顔の右側に縦線がたくさん入るシーン)
そういえば、ずいぶん前に誰かから聞いていたっけなぁ…。
いいお店ほど、惜しまれて消えていく世の中なんて。
しかしこの日は珍しく、次善の策まで用意してあった。
かつて一度だけお邪魔し、その味に感動したサイルーンである。
定休日が木曜であることは事前に知ってはいたものの、我々のことだから、定休日じゃないからといって営業しているとはかぎらない。
これまた珍しく事前に電話して、営業していることを確認してから北谷を出発した我々は、ようやく一歩現代人に近づいたかもしれない。
一度訪れたことがあるからといっても、幹線道路沿いというわけじゃなし、だいたいこのあたりだろう…と見当はついても、そこからディテールはまったく思い出せない。
もう少し先かな…と車を進めていたら、なんてことだ、残波岬と真栄田岬の岐路まで降りてきてしまったではないか。
Uターンして坂道を登り直し、このあたりだろう…と適当に入り込んでみたところ、このままテキトーに進んでいると泥沼になりそうなことが判明した。
そこで取り出しましたるスマホ。
さっそくグーグルマップで見てみると…
おお、この道の先ではないか!
豆腐脳内のあやふやな記憶とは違い、グーグルマップはなんでも知っている。
昼時で家族連れや1人客など常連さんっぽいお客さんたちでにぎわってはいたものの、駐車スペースもテーブル席も空いていたので、落ち着いてメニューをチョイス。
あれ?
コロナ禍前に一度訪れたときにくらべ、メニューがメチャクチャ増えている!
そのなかでも前回いただいた「カオソーイ」は、看板メニューとして燦然と輝くポジションをキープしているようだった。
ランチタイムにはそんなたくさんあるメニューから選ぶことももちろんできる一方、ランチメニューも日替わりで用意されていて、あらかじめたくさん用意しておける分出てくるまでが早く、お値段はお安く設定されている。
カオソーイがランチメニューに入ることがあるのかどうかは不明ながら、この日は「タイカレーのハーフ&ハーフ」、「ガパオライス」、そして「クイッティアオクアガイ」という聞き慣れぬ一品もラインナップしていた。
カオソーイ待機態勢で来店したワタシながら、聞き慣れないメニューも大変気になるところ。
米の麺だというし…
「醤油で下味を付けたやんばる若鶏と幅広米麺センヤイ、地養卵を炒めたモチモチ食感の優しい味わい。 付け合わせのチリソースをかけてスパイシーな味も楽しめます。」
…とメニューで紹介されている幅広米麺センヤイを味してみたい。
というわけでランチメニューからチョイスすることにし、オタマサはガパオライス…
そしてワタシは、件のクイッティアオクアガイ。
どちらにも、ナッツがまぶされたサラダがついてくる。
入店した時から空気はアジアンテイストだったけれど、これにてテーブル上も気分はサウスイーストエイジァン。
ガパオライスは今やすっかり日本でもおなじみになっているから、ワタシですら口にしたことはあるし、家でもちょくちょくオタマサがガパオライスもどきを作ってくれる。
でもこういうお店でいただくと、その味付けはやっぱりしっかりアジアンなんだなぁ、これが。
一方、初体験のクイッティアオクアガイ略してクアガイ、後刻調べてみたところ、この幅広の米麺は場合によっては幅2センチというものもあるそうながら、ここではおおむね1センチほどだった。
見た目はなんとなくきし麺の焼きそばって感じ。
でもそのお味は…
ああ…やっぱりアジアン♪
このエスニック感がたまらない。
米だけにもっちもちで、それでいて米粒ではないから満腹中枢モードが変わるのか、スルスルスル…といくらでも食べられそう。
でありながら、プレ高齢者の胃袋にはなんとも適量で、ほどよい満腹感と得難い満足感に浸ることができた。
これでアナタ、税込980円ですぜ。
そういえば先日、税抜き価格が同じ値段のカレー弁当を買ったような気が…。
お客さんたちはみな馴染みのようで、なんだかその様子は行きつけのそば屋を訪れているかのよう。
近所にこういうお店があって、普段使いできる暮らしって……ああ、うらやましい。
ところでランチメニューにはデザートセットというものもあって、本来480円のデザートを380円でいただけるようになっている。
ただしそれは3種あるデザートのうち、塩ココナッツバニラアイスにだけ適用されるようだった。
塩とココナッツとバニラアイスだなんて、耳にするだけで美味しそうに思えるけれど、だいたい味の想像はつく。
「バンコクの雪山」と名付けられたマンゴーソースのミルクプリンも、当たらずとも遠からず的な見当はつく。
でも「バイン・フラン」という、「エバミルクを使った濃厚なベトナム風カスタードプリン」の場合、わかるのはプリンだけで、そのビジュアルからも味の見当がまったくつかなかった。
セットにはならないものの、せっかくだからなんだかわからないものを頼んでみることに。
そのバイン・フランとは…
プリンの上にミントが載っていて、黒い蜜っぽいところには何かの花弁のようなものが浮かんでいる。
この黒い蜜っぽいものが、卓上のメニューでは日焼けしていたためか赤くなっていたものだから、黒いのが出てきてビックリした。
赤いからこそ味の見当がつかなかったのだけど、黒いとなると、ひょっとして……黒蜜?
実食。
おお…ホントに黒糖だった。
カスタードプリンに黒糖は合うし、濃厚な甘味にミントが混じるとミント嫌いのワタシでさえ思わずミントファンになってしまいそうな見事なバイプレーヤーぶりを発揮している。
とはいえ。
3種あるデザートのうちで、最もオキナワっぽいじゃんこれ…。
後刻調べてみたところ、本家本元のバイン・フランは、コーヒー味の濃い目のキャラメルに、ベトナムコーヒーのようにコンデンスミルクで甘味を加えた蜜をかけていただくんだって。
そういえば、本格的なタイ料理、アジアン料理を作ってくれるサイルーンさんは、たとえばカオソーイもその麺は特注の沖縄そばを使用しているように、随所に沖縄料理とのコラボが見受けられる。
ベトナムのプリンを黒蜜味でいただくのも、そういうことなのだろうなぁ。
…って、実はコーヒーに練乳味だったのに黒蜜と思い込んでいただけだったりして?
そんなこんなで、満足の読谷行なのだった。
しかしメインイベントはここからだったりする。
載せてきたタンクをボートに積む作業を終えて秘密基地に戻ってきた頃には午後も遅くなっていたので、これから何ができるわけでもないから、とりあえず物置の片づけをすることにした。
物置の半分を工房にしようとたくらむ一方、そのために「とりあえず」で置いてあるものはすべてもう半分側にドドンとテキトーに置いてある。
でもこのもう一方の側もちゃんと物置になるよう手を付けるとなると、テキトーに置いてあるものをとにかく整理整頓&断捨離しなくては始まらない。
とにかくなんでもかんでも「とりあえず」なので、処理しようにも時すでに遅く行き場を失ってしまったブラウン管仕様のパソコンモニターまであったりするくらいだから、空間を占めているもののうち半分以上はロクでもないものばかりだ。
なかには、梅干し用のガラス容器に漬けられた、アヤシゲなお酒がいくつもあった。
ここに安置されるようになってからでも15年くらい、作ってからとなると四半世紀くらいは経っているかもしれないそんなお酒など、この先も絶対に飲むことはないだろうから、この際中身は全部捨ててしまおう…
と、フタを開けて流してしまおうとしたところ、なかから漂ってくる香りがどういうわけか…
…美味そう。
さすがにクワの実酒は異臭がしたので廃棄したけれど、こちらはかなりそそられる香りだった。
ハマゴボウを泡盛に漬けたもの、人呼んでボウフウ酒。
今は亡き民宿大城のおじいことヤスオさんが「体にいい」と好んで飲んでいたもので、我々もおじいに教わって作ったものだ。
まだおじいが元気にお酒を美味しく召し上がっていた頃のことだから、「体にいい」と言いながらいつも飲みすぎているから、それは中身が何であれ体に良くないのでは…と笑い話にもしていたっけ。
そんな時代に作ったものだから、いわば相当な古酒ではある。
でもハマゴボウがたくさん漬かっている様子は…
なんだかエイリアンの採集標本のような…。
ところが香りは美味しそう…となれば、これは味してみるしかござるまい。
柄杓はないのでお玉で1~2杯掬い取り、ロックグラスに入れてみる。
はたしてそのお味は?
チビっとヒト舐め。
あれ?
ゴクッとひと口。
あれれ?
アルコールをほとんど感じないんですけど?
もうひと口。
さらにひと口。
あれれれれれれれ?
食後のことなのですでに酔っているとはいえ、これほどアルコールを感じないってことは、ひょっとしてアルコールが飛んでしまっているのだろうか?
すかさずオタマサに味してもらったところ…
「しっかりアルコール度数がある!」
なんと!
まったくアルコールを感じさせないまろやかな口当たり、さすが四半世紀ものの古酒。
ただし。
そこにはジンのような、もっと具体的に言うなら養命酒が作ったジンのような薬草味が。
その雰囲気は、ギリシャのお酒ウーゾ(ウゾ)に相通じるものがあるかもしれない。
なので好き嫌いが別れるところなのだろうけれど、養命酒のジンもウーゾも美味しく飲めたワタシには、おじいの懐かしさもあってとても美味しくいただけた。
オキナワン・ウーゾとして売り出せば、名産品になること間違いなし!
小林〇薬も裸足で逃げ出すほどの効果・効能を列記して、長寿の薬酒として売り出すのだ。
商品名はもちろん……
ウゾ800。